いまさら聞けない、“謎”のIPアドレス「0.0.0.0」の用途IPアドレス「0.0.0.0」とは何か【中編】

“特別なIPアドレス”である「0.0.0.0」。混同しやすい127.0.0.0とはどう違うのか、ループバックとは何かといった質問を軸に、0.0.0.0の知識を深めよう。

2021年12月03日 08時15分 公開
[Jessica ScarpatiTechTarget]

 前編「“謎”のIPアドレス『0.0.0.0』の正体とは?」は、「0.0.0.0」がどのようなIPアドレスなのかを簡単に整理した。中編となる本稿は、0.0.0.0の具体的な用途を紹介する。

「0.0.0.0」の用途はこれだ

会員登録(無料)が必要です

 システム初期化のとき、コンピュータやプリンタなどのデバイスが有効なIPアドレスの割り当て前に、0.0.0.0を利用できる。0.0.0.0は「DHCP」(Dynamic Host Configuration Protocol)のエラーの結果として表示されることもある。DHCPは、新たにネットワークに接続されたデバイスに自動的にIPアドレスを割り当てるプロトコルだ。

 DHCPによってIPアドレスを取得できなかったデバイスに対して、IPアドレスを設定する「APIPA」(Automatic Private IP Addressing)という技術がある。APIPAを実装したデバイスは、DHCPエラーが発生すると、169.254.1.0から169.254.254.255までの範囲のIPアドレスを自身に割り当てる。この場合、デフォルトゲートウェイ(送信相手までの経路が不明な際、データを送信する中継機器のIPアドレス)として0.0.0.0を使用する。

 他にも0.0.0.0には次のような使い方がある。

デフォルトルート

 IPv4(インターネットプロトコルバージョン4)のルーティング(経路制御)において、0.0.0.0は「デフォルトルート」を表す。デフォルトルートは、ルーティングテーブル(ルーティング時に参照される経路情報)に、宛先アドレスに該当する経路情報がない場合に使用できる経路だ。

 デフォルトルートが0.0.0.0のサブネットマスク(IPアドレスのうち、ネットワークアドレスとホストアドレスを識別する数値)と共に使用されるときは、どの宛先アドレスもデフォルトルートに該当すると見なされる。一方でデフォルトルートが255.255.255.255のサブネットマスクとともに使用されるときは、どの宛先アドレスもデフォルトルートに該当しないと見なされる。

ブロードキャストアドレス

 0.0.0.0はIPv4の「ブロードキャストアドレス」として使用できる。ブロードキャストアドレスとは、LANの全てのデバイスにデータを一斉配信するために使われる特殊なアドレスだ。

ネットワーク非接続の状態表示

 デバイスがIPネットワークに接続していないことを示す際に、0.0.0.0を使う。デバイスはオフラインのとき、自身に0.0.0.0を割り当てる可能性がある。


 後編は、混同しやすい0.0.0.0と127.0.0.0の違いを説明する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...