“特別なIPアドレス”である「0.0.0.0」。混同しやすい127.0.0.0とはどう違うのか、ループバックとは何かといった質問を軸に、0.0.0.0の知識を深めよう。
前編「“謎”のIPアドレス『0.0.0.0』の正体とは?」は、「0.0.0.0」がどのようなIPアドレスなのかを簡単に整理した。中編となる本稿は、0.0.0.0の具体的な用途を紹介する。
システム初期化のとき、コンピュータやプリンタなどのデバイスが有効なIPアドレスの割り当て前に、0.0.0.0を利用できる。0.0.0.0は「DHCP」(Dynamic Host Configuration Protocol)のエラーの結果として表示されることもある。DHCPは、新たにネットワークに接続されたデバイスに自動的にIPアドレスを割り当てるプロトコルだ。
DHCPによってIPアドレスを取得できなかったデバイスに対して、IPアドレスを設定する「APIPA」(Automatic Private IP Addressing)という技術がある。APIPAを実装したデバイスは、DHCPエラーが発生すると、169.254.1.0から169.254.254.255までの範囲のIPアドレスを自身に割り当てる。この場合、デフォルトゲートウェイ(送信相手までの経路が不明な際、データを送信する中継機器のIPアドレス)として0.0.0.0を使用する。
他にも0.0.0.0には次のような使い方がある。
IPv4(インターネットプロトコルバージョン4)のルーティング(経路制御)において、0.0.0.0は「デフォルトルート」を表す。デフォルトルートは、ルーティングテーブル(ルーティング時に参照される経路情報)に、宛先アドレスに該当する経路情報がない場合に使用できる経路だ。
デフォルトルートが0.0.0.0のサブネットマスク(IPアドレスのうち、ネットワークアドレスとホストアドレスを識別する数値)と共に使用されるときは、どの宛先アドレスもデフォルトルートに該当すると見なされる。一方でデフォルトルートが255.255.255.255のサブネットマスクとともに使用されるときは、どの宛先アドレスもデフォルトルートに該当しないと見なされる。
0.0.0.0はIPv4の「ブロードキャストアドレス」として使用できる。ブロードキャストアドレスとは、LANの全てのデバイスにデータを一斉配信するために使われる特殊なアドレスだ。
デバイスがIPネットワークに接続していないことを示す際に、0.0.0.0を使う。デバイスはオフラインのとき、自身に0.0.0.0を割り当てる可能性がある。
後編は、混同しやすい0.0.0.0と127.0.0.0の違いを説明する。
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