「Android 12L」と「iPad OS 15」がすごくてもタブレットが売れない理由企業のタブレット活用は広まるのか

GoogleのタブレットOS「Android 12L」は、画面分割機能など大型ディスプレイでの利用を前提にした機能を豊富に搭載する。「iPad OS 15」との競争でタブレット市場は活性化するのか。アナリストは懐疑的だ。

2021年12月03日 08時15分 公開
[Maxim TamarovTechTarget]

関連キーワード

Google | Android


 Googleが2021年10月27日(米国時間)に発表した「Android 12L」は、2011年の「Android 3.0」(開発コードネーム:Honeycomb)に続くタブレット向けOSだ。同社はこのAndroid 12Lに、盛りだくさんのユーザーインタフェース(UI)を追加する。現在は開発者プレビューの段階で、2022年初頭に正式提供する。

 Android 12Lは2021年10月に正式提供済みの「Android 12」の後続となる。Googleの説明によれば、Android 12Lはタブレットに加えて、ノート型端末「Chromebook」や折り畳み型スマートフォンといった大型ディスプレイを備える端末向けにカスタマイズされている。

 画面分割機能が充実していることが、Android 12Lの特徴だ。クイック設定、通知、ロック画面は2列のレイアウトで表示される。端末のユーザーはタスクバーからアプリケーションを画面のいずれかの側にドラッグ&ドロップして、2つのアプリケーションの間で画面を分割できる。

Android 12Lと「iPad OS 15」が多機能でもタブレットは売れない?

会員登録(無料)が必要です

 調査会社451 Researchのアナリストであるラウル・カスタノン氏は、こうしたマルチタスク機能や生産性向上を意識した機能は、Appleがタブレット向けOS「iPad OS 15」で実現したことを反映していると指摘する。「公平に言えばGoogleはAppleに追い付きつつある」(カスタノン氏)。一方でモバイル端末にとって、こうした機能は「『あって当然』のものになっている」と同氏は語る。

 「Android 12Lは、開発中のアプリケーションを大型ディスプレイ用に最適化したい開発者のためのものだ」とGoogleの広報は説明。「Androidのエコシステムの中で、こうした傾向はますます顕著になっている」と語る。同社によると、Android関連の大型ディスプレイ搭載端末のうち、現時点で使われている端末は2億5000万台を超す。この数にはAndroid搭載タブレットや折り畳み型スマートフォン、クライアントOS「Chrome OS」搭載端末が含まれる。

 調査会社Gartnerは「ただでさえ企業のタブレット使用は限定的だ」と説明。「Android 12Lが企業向け市場でAndroidタブレットの利用を押し上げるとは考えられない」と指摘する。その意味においては、iPad OS 15など「iPad OS」を利用している企業が別のタブレットを試す可能性も期待薄だと考えられる。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 ユミルリンク株式会社

大量のメールも確実に届ける、メール配信SaaS選びの「3つのポイント」とは?

メール/メルマガ配信の運用課題を解消する方法として、メール配信SaaSを導入する企業が増加しているが、サービス選びには注意したい点が幾つかある。具体的にどのような観点でサービスを見極めていけばよいのかを解説する。

事例 双日テックイノベーション株式会社

わずか4カ月でクラウドPBXへ移行、エヌ・シー・エヌに学ぶ電話環境改善のヒント

固定電話とオンプレミスPBXをベースとした電話環境は、異動や席替えのたびに配線の引き直し工事が発生したり、電話管理が属人化したりと、非効率さが課題となりがちだ。この問題を短期間で解消した、エヌ・シー・エヌの事例を紹介する。

事例 Asana Japan株式会社

富士通のDX推進事例に学ぶ、生産性40%アップを目指す突破口とは?

富士通が展開するDX推進プロジェクト「フジトラ」。12万余りのグループ従業員全体をカバーするのは容易ではないが、その一翼を担うのが「ワークマネジメントツール」だ。本ツールの導入経緯から効用、今後の展開などを紹介する。

製品資料 株式会社マヒト

名刺発注業務を効率化、柔軟なワークフロー構築が可能な名刺発注システムとは

名刺は日々のビジネスに欠かせないツールの1つだが、その発注に関する承認と管理は意外と手間のかかる作業であり、規模が大きくなるほど負担は増大する。そこで注目したいのが、柔軟なワークフローを構築できる名刺発注サービスだ。

製品レビュー NECネッツエスアイ株式会社

2分の動画で解説:外出先での電話環境を改善、雑音除去もできるクラウドPBXとは

外出時の電話対応では、取り次ぎや折り返しの手間に加え、周囲の雑音やノイズといった課題もつきものだ。これらを解決する手段として期待されるクラウドソリューションを取り上げ、実際の利用方法や活用効果を、動画を通じて紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...