GoogleのタブレットOS「Android 12L」は、画面分割機能など大型ディスプレイでの利用を前提にした機能を豊富に搭載する。「iPad OS 15」との競争でタブレット市場は活性化するのか。アナリストは懐疑的だ。
Googleが2021年10月27日(米国時間)に発表した「Android 12L」は、2011年の「Android 3.0」(開発コードネーム:Honeycomb)に続くタブレット向けOSだ。同社はこのAndroid 12Lに、盛りだくさんのユーザーインタフェース(UI)を追加する。現在は開発者プレビューの段階で、2022年初頭に正式提供する。
Android 12Lは2021年10月に正式提供済みの「Android 12」の後続となる。Googleの説明によれば、Android 12Lはタブレットに加えて、ノート型端末「Chromebook」や折り畳み型スマートフォンといった大型ディスプレイを備える端末向けにカスタマイズされている。
画面分割機能が充実していることが、Android 12Lの特徴だ。クイック設定、通知、ロック画面は2列のレイアウトで表示される。端末のユーザーはタスクバーからアプリケーションを画面のいずれかの側にドラッグ&ドロップして、2つのアプリケーションの間で画面を分割できる。
調査会社451 Researchのアナリストであるラウル・カスタノン氏は、こうしたマルチタスク機能や生産性向上を意識した機能は、Appleがタブレット向けOS「iPad OS 15」で実現したことを反映していると指摘する。「公平に言えばGoogleはAppleに追い付きつつある」(カスタノン氏)。一方でモバイル端末にとって、こうした機能は「『あって当然』のものになっている」と同氏は語る。
「Android 12Lは、開発中のアプリケーションを大型ディスプレイ用に最適化したい開発者のためのものだ」とGoogleの広報は説明。「Androidのエコシステムの中で、こうした傾向はますます顕著になっている」と語る。同社によると、Android関連の大型ディスプレイ搭載端末のうち、現時点で使われている端末は2億5000万台を超す。この数にはAndroid搭載タブレットや折り畳み型スマートフォン、クライアントOS「Chrome OS」搭載端末が含まれる。
調査会社Gartnerは「ただでさえ企業のタブレット使用は限定的だ」と説明。「Android 12Lが企業向け市場でAndroidタブレットの利用を押し上げるとは考えられない」と指摘する。その意味においては、iPad OS 15など「iPad OS」を利用している企業が別のタブレットを試す可能性も期待薄だと考えられる。
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