2020年1〜3月期の世界スマートフォン販売台数は、前年同期比で約20%の減少に見舞われた。専門家は原因としてパンデミックに伴う混乱を指摘するが、原因はそれだけではない。
調査会社Gartnerが2020年6月に発表した調査結果によると、2020年1〜3月期の世界スマートフォン販売台数は、2019年1〜3月期に比べて20.2%減少した。「スマートフォン市場で史上最悪の下落だった」と、同社の上級調査アナリスト、アンシュル・グプタ氏は話す。グプタ氏はその原因として、サプライチェーンの混乱と需要減退の両方を挙げる。このうち需要減退は、外出禁止や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)に関連する経済の不透明性の影響だったと分析する。ただし原因は他にもある。
Gartnerによれば、スマートフォンベンダー大手3社の2020年1〜3月の世界期販売台数はいずれも減少となり、Samsung Electronicsは22.7%、Huawei Technologiesは27.3%、Appleは8.2%の落ち込みだった。世界のスマートフォン販売が低迷した原因については、アナリストによって意見が異なる。ただし企業向けスマートフォンには依然として課題があるという見解は一致する。調査会社Constellation Researchの副社長兼主席アナリスト、ホルガー・モラー氏は「企業が新しいスマートフォンのハードウェアを調達するペースを減速させている」と述べる。
「コンシューマー向け市場でしか成長はない。仕事でスマートフォンが必要な人は既に持っている」とモラー氏は解説する。同氏によれば、企業のモバイルデバイス関連投資はスマートフォンやタブレットからセキュリティ対策へと移り、「MDM」(モバイルデバイス管理)を含む「EMM」(エンタープライズモビリティー管理)などのデバイス管理ソフトウェアへの関心が高まっている。
Constellation Researchの創業者で主席アナリストのレイ・ワン氏は「モバイルデバイスの多様化が進み、企業の枝分かれが始まっている」と指摘する。同社の予想では、企業は携帯電話以外のデバイスを採用するようになる。「IoT(モノのインターネット)デバイスが増え、モバイルデバイス市場に食い込んでいる」とワン氏は言う。
例えば解像度が増大し続けるカメラのような、ハイエンドのスマートフォンの特筆すべき新機能は「企業の購買意欲を促進させていない」と、独立系アナリストのエリック・クライン氏は解説する。全般的にエンドユーザーが手持ちのデバイスを持ち続ける期間が長くなったのは「アップグレードの必要性がないためだ」とクライン氏は指摘する。「われわれが目にする新機能やイノベーションは、本当に頭打ちになった」(同氏)
スマートフォン市場は近いうちに回復すると専門家は予想する。2020年のスマートフォン販売は2019年を下回るとGartnerは予想している。グプタ氏によると、年が進み、パンデミック関連の問題が薄まれば、販売は上昇傾向に向かう見通しだ。同氏は「2020年下半期には需要が増え、2021年は前向きな成長が予想できる」と語る。
クライン氏によると、企業にはハイエンドのデバイスを調達する理由がほとんどないことから、ベンダー各社はローエンドのスマートフォンに軸足を移す可能性がある。「売り上げの大部分はエントリーモデルかミドルモデルが占めるだろう」と同氏は予測。「5G」(第5世代移動通信システム)や折り畳み式ディスプレイといった新要素が一時的に販売を加速させることがあったとしても「エンドユーザーや企業にとっては当面の間、最新の「iOS」と「Android」のアップデートに追い付くことが、アップグレードの主な理由になる」と語る。
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