スマートフォン市場の低迷が続いている。その背景にはデバイスの耐久性向上による購入サイクルの長期化があるものの、ユーザーにとっても、メーカーにとっても深刻な別の問題もある。
調査会社IDCの調べによるとスマートフォンの四半期ごと出荷台数は、2016年第4四半期(10月〜12月)から2019年第2四半期(4月〜6月)まで前年割れを続けてきた。2019年第3四半期(7月〜9月)でようやく前年実績を上回ったものの、最近のスマートフォン市場は全体として下落傾向にあることは確かだ。
企業用途に絞ってスマートフォン市場が低迷している背景を探ると、幾つかの原因があることが分かる。調査会社Forrester Researchのアナリスト、アンドリュー・ヒューイット氏は「大量購入したデバイスを長く使おうとする傾向が大きく影響している」と話す。
メーカー各社は生き残りと収益維持のために、それぞれの戦略を調整している。主力機種の価格帯や機能の見直し、シェア拡大につなげるサービスやプログラムの拡充などの動きがある。従業員用のスマートフォンを購入する企業は、適切な判断をするために現在の市場動向をよく把握しておく必要がある。
スマートフォン市場が低迷している背景には、市場の飽和や大手メーカー機種の価格上昇と耐久性向上など、さまざまな原因がある。調査会社Gartnerが発表した2019年の報告書によると、ハイエンドの主力機種にはそうした全ての要因が当てはまり、需要の低下につながっているという。
ヒューイット氏は、デバイス自体が頑丈になり、落下や水に強くなっているため、企業の買い替えサイクルが長くなってきていると話す。環境コンサルティング会社Dudekの最高情報責任者(CIO)、ブライアン・ノードマン氏は、従業員のスマートフォンが今までよりも長持ちしていると話す。「故障して戻ってくるスマートフォンが少なくなり、寿命が長くなっている。そろそろ買い替えの時期だと伝えても『今使っているスマートフォンで何の問題もない』という答えが返ってくる」(ノードマン氏)
スマートフォンの買い替えサイクルを数カ月長くしたところで大して変わらないと考える人もいるだろう。だが従業員数が1万人を超える企業でそのような動きがあれば、スマートフォンの購入台数は著しく低下する。
買い替えサイクルが長くなる原因は、スマートフォンの耐久性向上以外にもある。
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