準仮想化は完全仮想化にはないメリットをIT管理者にもたらす。準仮想化と完全仮想化はどう違うのか。それぞれの基本的な特徴を説明する。
仮想化技術の「準仮想化」(Para Virtualization)は、容易なバックアップやシステムの高速移行、インフラの利用効率の向上、電力節約など、一般的な仮想化技術である「完全仮想化」にはないメリットをIT管理者にもたらす。ただしシステムのデータ転送速度を予測できなかったり、ハードウェア互換性に問題が生じたりするといった特有の課題がある。
準仮想化は仮想化のオーバーヘッドを最小限に抑えることで、管理者が仮想マシン(VM)を十分に活用できるようにする。準仮想化を採用するに当たっては、この技術を正しく理解する必要がある。本稿は準仮想化と完全仮想化の違いを説明する。
完全仮想化は、ハイパーバイザーがゲストOSを丸ごと抽象化する。そのためゲストOSはハイパーバイザーの存在を認識しない。基本的に一つ一つのVMとそのゲストOSは、それぞれ別のPCであるかのように動作する。
これにより管理者は複数のゲストOSを利用したり、最新バージョンのゲストOSと古いゲストOSを同時に稼働させたりできる。ただし完全仮想化はハイパーバイザーが実行するハードウェアエミュレーションに依存するため、データ処理速度が低下したり、動作に問題が生じたりする恐れがある。
完全仮想化のこうした問題点を補うのが準仮想化だ。例えば準仮想化はゲストOSがハイパーバイザーの存在を認識する。これによりゲストOSだけでは制御が難しい複雑な処理をハイパーバイザーで実行可能にする。その結果、データ処理速度と物理インフラの利用率が向上し、データのバックアップや移行、電力消費も効率化できる。
準仮想化では、管理者がハイパーバイザーに合わせてゲストOSの設定を変更する必要があり、この点がゲストOSの選択肢を大きく狭める可能性がある。ハイパーバイザーとOSとの依存関係が生まれるため、後から互換性の問題が生じることもある。
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