IT担当者なら知っておきたい必須知識「Windowsの印刷設定」とは?Windowsの印刷設定を解説【前編】

印刷時の待ち時間やエラーは業務効率を低下させる。企業が紙の使用量を削減しているとしても、IT部門は印刷がスムーズにできるように設定やトラブルシューティングを心得ておく必要がある。

2025年05月20日 08時00分 公開
[Gary OlsenTechTarget]

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Windows 10


 デジタル化が進んでいる中でも、企業ではさまざまな文書の印刷作業が発生する。実際に印刷物が必要になった際に、待ち時間やエラーが発生すると、従業員の生産性が低下してしまう。そのためIT部門には、従業員がスムーズに印刷できるよう業務環境を整えると同時に、トラブルを素早く解決することが求められる。

 MicrosoftのクライアントOS「Windows」を例に、印刷の処理方法や印刷管理ユーティリティー(特定の機能を補助するプログラムやツール)について解説する。

Windows 10で押さえておきたい印刷機能は

 「Windows 10」の印刷機能は、主に次の要素で構成されている。

  • 印刷管理ユーティリティー
    • 印刷キュー(印刷待ちのファイル)、印刷とドキュメントのプロパティ、トラブルシューティング機能を管理する。
  • 各プリンタのプリンタドライバ
    • Windowsとプリンタが正しく情報をやりとりするためのソフトウェアで、通常はプリンタごとにインストールする。
  • 印刷スプーラー(Print Spooler)
    • プリンタが印刷ジョブを完了するまでジョブを格納するプログラムで、印刷ジョブをユーザーや時系列ごとに整理する働きもする。

 これらの要素はそれぞれ管理方法やトラブルシューティングで求められる内容が異なるため、IT管理者は留意する必要がある。

Windows 10の印刷管理機能

 印刷管理ページを開くには、Windows 10の検索バーで「プリンタ」と入力し、「プリンタとスキャナー」アイコンをクリックして「プリンタとスキャナー」ページに移動する(図1)。

図表 図1 利用可能なプリンタが表示されている「プリンタとスキャナー」の画面(画像は筆者が取得した英語版)

 ショートカットを作成するには「設定」アイコンから「デバイス」「プリンタとスキャナー」と移動して、右クリックするかWindows 10の検索バーから「プリンタとスキャナー」「スタート(タイル)にピン留め」を選択する。

 この「プリンタとスキャナー」ページには、プリンタ、印刷ジョブ、トラブルシューティングに役立つ重要な管理タスクが用意されている。図1にはネットワーク接続されたHPのプリンタだけでなく、Microsoftの「Microsoft Print to PDF」ユーティリティーも表示される。このユーティリティーはドキュメントの印刷ダイアログ内で、1台のプリンタとして表示され、ドキュメントをPDFファイルに変換して保存する。Microsoftのメモツール「OneNote」に印刷するための機能も選択肢として表示され、選択するとOneNoteに記録できる。

 新しいプリンタをネットワークに追加するには、プリンタがローカルネットワークで適切に構成され、IPアドレスを持ち、電源が入っている必要がある。その上で、「プリンタまたはスキャナーを追加します」または「更新」をクリックすると、Windowsによってプリンタが検出され、追加される。

 プリンタが表示されない場合は「プリンタが一覧にない場合」をクリックする。古いプリンタではこの操作が必要になる可能性がある。管理者は共有プリンタ名、IPアドレス、Bluetoothまたはワイヤレスネットワークを利用するか、メーカーからダウンロードしたプリンタドライバを追加することで、プリンタを追加できる。

 検索してもプリンタが表示されない場合は、そのプリンタにはWindowsからアクセスできない。

 印刷キューの状態確認や、プリンタ本体の設定を確認したい場合は「プリンタとスキャナー」の画面に表示されている、目的のプリンタのアイコンをクリックする。

図表 図2 「プリンタとスキャナー」で特定のプリンタを選択すると表示されるダイアログボックス(画像は筆者が取得した英語版)

 アイコンをクリックすると、次の操作が可能になる。

  • 印刷キューを開く。
  • 管理する。
  • デバイスを削除する。

キューを開く

 印刷キューには印刷中または印刷待機中のドキュメントが表示される(図3)。管理者はこの操作で印刷エラー、印刷するページ数、所有者などの関連情報を確認できる。

図表 図3 3つの印刷ジョブが表示されたWindows 10の印刷キュー(画像は筆者が取得した英語版)
  • 通常使うプリンタに設定
    • ユーザーが使用できるプリンタが複数台ある場合に重要で、通常使うプリンタとは、印刷ダイアログの先頭に表示されるプリンタを指す。
    • ユーザーがアプリケーションから「クイック印刷」にアクセスした場合、通常使うプリンタが表示される。
  • 印刷設定の管理
    • 白黒かカラー、用紙サイズ、品質レベルなど基本的な印刷設定を管理できる。
  • プリンタドライバの更新
    • メーカーから新しいプリンタドライバの使用を推奨された場合はこの操作で更新できる
  • 印刷の一時停止
    • 印刷キューを一時停止し、全ての印刷ジョブを停止する。
  • 全てのドキュメントのキャンセル
    • 印刷キューから印刷ジョブを削除する。
  • 共有
    • プリンタを共有可能にする。
  • プリンタのプロパティ
    • プリンタのプロパティを表示および設定する。

管理

 「管理」ダイアログでは次のような機能を使用できる。

  • テストページの印刷
    • プリンタとWindowsデバイスが相互に通信可能であることを確認する。
  • トラブルシューティングツールの実行
    • 何かが機能していない場合、このツールを使うことで問題を診断できることがある。
  • プリンタのプロパティ
    • デバイスの設定、共有、セキュリティの基本設定ができる。
  • 印刷設定
    • 用紙の種類、トレイ、レイアウトなどに関連する設定が含まれている。
  • ハードウェアのプロパティ
    • デバイス自体の基本設定を確認する。

デバイスの削除

 その名の通り、「デバイスの削除」を使うと管理者がWindowsからプリンタを削除できる。プリンタドライバやその他のソフトウェアが破損した場合、管理者はプリンタを削除してからそれらを再インストールする必要がある。

 「プリンタとスキャナー」ページの右ペインには、「プリントサーバのプロパティ」と「トラブルシューティングツールの実行」がある。プリンタドライバのダウンロードなど、Webの追加ヘルプへのクイックリンクも用意されている。

 管理者は「プリンタとスキャナー」ページでスキャナーのインストールや管理ができる。


 後編は、Windows 10の印刷管理におけるトラブルシューティングの手順を解説する。

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