IoTで生まれる新たな対応
機械が人間に、人間が機械に? IoTで突きつけられる4つの問い(1/2 ページ)
「モノのインターネット」(IoT)により、生活は便利になり、ビジネスにさまざまな良い効果が生まれている。だが、IoTによって新しく考えなければいけない課題がある。
「モノのインターネット」(IoT)がもたらしたデータを保護する方法とIoTデータの所有権を判断する方法を考える際に問題となるのは、昔から存在する規則や手法が当時とはまるで異なる状況で適用されようとしていることだ。そうした古い規則や手法は、現在のような状況に適用されることなど全く想像されてもいなければ、意図されてもいない。
「現代の石器人」ともいえる私たちは、たき火が発する光や熱、音や匂いが誰の物かという問題に取り組んでいる。IoTテクノロジーに対応するために必要なのは新しい法律や規制にとどまらない。気が付けば社会は新たな高度文明への進化の真っただ中にいる。新人類への進化といえるかもしれない。そうした社会に対して、私たちは従来と異なる考え方を持って、最終的に社会を管理する仕組みを変える必要がある。またIoT革命を含めたテクノロジーの進化に合わせ、自分たちの文化や思考、信条、価値体系も進歩させなければならない。
IoT革命と最後の未開拓分野という誤った考え
人間は変化を拒む生き物だ。現状維持によって、なじみのある快適さをもたらされている。私たちは構造が出来上がっていたり、予測が付いたりすることから安心感を得る。だが、現状を心地良く感じたり、不快に感じたりしても、今の現実は未来永劫(えいごう)続かないものとして受け入れる傾向がある。人類として、現状を守るために尽力しているのだ。極端な話、存在し得るものは既に全て作り出されていると考えている。そして、不定期に改善が少しずつ加えられることなく、生じる新たな概念など存在し得ないと信じている。
例えば、コミュニケーションの向上について考えた場合、その思考の基礎となるのは、より大型または小型で輝度の高いディスプレイが搭載された高性能なスマートフォンだ。自分たちの想像を上回る早さで「近い将来」が生み出され、進化し、その進化の速度が指数関数的に上がっていくことを理解できない場合は少なくない。
例を挙げると、心と心を直接つなぐテレパシーのようなコミュニケーションが可能になれば、スマートフォンは全く必要がなくなる。途方もない夢の話としても、この種の洗練されたコミュニケーションは、子世代や孫世代に関係するかもしれない。ただし、自分たちに関係のあることでもなければ、今気にすることでもない。だが、好むと好まざるにかかわらず、今の現実は不変的なものではない。最後の未開拓分野と信じているものは、実際には、近い将来でも計り知れないほどの速さで変化している。
人類から見たテクノロジーの進化
テクノロジーの変化スピードによってあらゆることが変わっている。歴史的に見て、テクノロジーの進歩による影響を考察する際は、新しいテクノロジーがもたらす利便性と効率について考えることが多い。
火は人間に光と熱、快適性、安心感をもたらし、コミュニケーションを強化した。のろしを上げれば、声や物をたたく音が届かないような遠距離でも煙を確認できる。食べ物を調理できるようになったことで健康面が改善され、人間の幸福感が増したことは疑いようがない。また、寿命も確実に延びている。遠い昔から、火は兵器を実現する重要な要素でもある。
車輪が発明されたことで人や物の動きやすさが向上し、人間が移動できる物理的な距離や、経済発展のために商品を運べる距離が大幅に延びた。産業化時代に、蒸気の力と化石燃料エンジンの技術により、輸送や物流の効率、経済的生産性などは全く新しい水準に達した。このような比較的新しい技術は兵器が進歩する一因となった。地球規模で突き詰めていけば、進歩した武器が使われることで、街や村が植民地になり、植民地が国家となり、国家が巨大帝国となった。
コンピュータ時代になると、反復的なバックオフィス機能を自動化するITが誕生した。その後、膨大になった情報はデータセンターから物理的に接続された個室に到達するようになった。そして、個室から個々のユーザーへと達するようになった。その結果、ユーザーは、コンピュータやデータが配置されている物理的な環境に縛られなくなった。モバイルデバイスによって、コンピュータとデータにアクセスするための物理的な障害を乗り越えると、経済的に新しい顧客市場への進出が容易になった。物流と輸送における進歩によって新たな未加工データの発信源を利用できるようになり、労働者の新しい未加工データの供給源も利用可能になった。アプリケーションは、バックオフィスを効率化するものから、フロントオフィスのマーケティングや営業、顧客関係、もっと最近では顧客経験を管理するものへと急速に変化している。ソーシャルやモバイル、ビッグデータ分析、クラウドなど、デジタル時代のテクノロジーは個々のユーザーと、実際のニーズと予測ベースのニーズも含めて、個人のニーズにますます重点を置くようになっている。その進歩は、集団を人口区分や心理学的区分で関連付ける方法を優に超えている。
ただし、このようにテクノロジーが発展しても、機械とそれを作ったり、使ったりする人間との間にある境界線が比較的はっきりしているのは変わらない。
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