さらなるスマートデバイス小型化へ向けて
IoTを新しいステップに導く超薄型素材「グラフェン」の可能性
2004年に発見された超薄型素材「グラフェン」。この素材がITや「IoT」(モノのインターネット)を次の段階に導く可能性がある。
研究者は2004年に格子構造を持つ超薄型素材「グラフェン」が発見した。それからグラフェンは素晴らしい可能性を秘めた素材として名前が広まった。それ以来、世界中の研究者がグラフェンの理論上の可能性を実現しようとしてきた。この動きはコンピューティングやIT、「IoT」(モノのインターネット)を始めとする膨大な領域に次なる巨大な革命的進化をもたらすものだった。
このグラフェンの能力を生かそうとする競争において最前線を走っているのが、サリー大学だ。同大学の科学者は、今までの中で最高の光吸収素材を作り出すために、特殊なグラフェンシートを開発した。本稿では、同大学のAdvanced Technology Instituteでセンター長を務めるラビ・シルバ教授がこのブレークスルーについての洞察を語る。
――この研究はどのように始まったのですか。
シルバ氏:プロジェクト全体が始まったのは恐らく10年以上前のことです。私たちは防衛産業向けアプリケーションに使う超高吸収素材を製造する必要があり、その素材を可能な限り小さくするという課題に直面していました。
私たちは、この素材を非常に繊細な電子デバイスに使うことが可能かどうかを考えていました。問題は素材の厚みが増すほど素材に伴う圧力も大きくなるということです。しかし薄くしすぎると、素材にエネルギーが保存されるにつれデバイスが破裂する可能性が高まります。そこで、エネルギー差と構造の間の重圧を軽減するために、可能な限り薄くできる素材について事前に考える必要がありました。あらゆる選択肢を検討した後、この状況に上手く対応するにはグラフェンを使用すべきだという結論に落ち着きました。
――何を開発したのか教えてください。
シルバ氏:物理的な製品を開発しました。基本的には手で持つことができる構造になっています。表面には非常に薄いコーティングが施されており、デバイスの前面にある薄い層は超薄型のグラフェン層で、ミクロン単位の顕微鏡でも確認するのが困難です。私たちはグラフェン層を別の面に貼り付けて、目に見えるようにしました。
――この革新のヒントはどこから得たのですか。
シルバ氏:実は自然からアイデアを得ました。自然界を見渡して、物質を非常によく吸収する自然発生物を探しました。そこで、私たちが目を付けたのは「蛾の目」です。蛾の目は、そこに映るあらゆるものを吸収できる表面組織があります。ごく微量の光も吸収できるため、周辺で起こっていることが目に見えます。あらゆるものを吸収するということは、何も映し返さないということです。このような理由で私たちは蛾の目の表面について研究して、「蛾がこの表面機能を作り出しているならば、私たちも同じ構造を作り出し、グラフェン層でコーティングできないだろうか」という状況になりました。
――グラフェンシートはどのようにコンピューティングの可能性を発展させるのでしょうか。
シルバ氏:半導体には「ムーアの法則」という歴史的な指標があり、トランジスタの集積密度はどんどん増加するとされています。デバイスの小型化が進んでいますが、素材が薄くなればなるほど吸収する光も少なくなるという問題があります。そのため、素材の厚さが50ナノメートルを下回ると透明層になります。50ナノメートルの層があっても、光を吸収するには薄すぎるため外界では透明に見えます。ところが、光は電子回路に結び付けなければ活用できませんし、デバイスが小さくなればなるほど層は目に見えなくなってしまいます。適切な波長にするためには光学層に厚みを持たせる必要があります。このプログラムで大きく飛躍させたのはここで、私たちは光を吸収する表面構造を作成しました
――グラフェンシートにはどのような能力がありますか。
シルバ氏:光学デバイスの小型化が可能です。また、発光デバイスの薄い層を製造したいのであれば、超薄型のデバイスを製造することができます。例えば、太陽電池を製造したいのであれば、基本的にベースは結晶シリコンになるため、コーティングに約100ミクロンメートルの厚さがないと太陽光を吸収できませんでした。グラフェンシートは、たった15ナノメートル(0.015マイクロメートル)の厚さで99%の光を吸収できます。これにより電子デバイスに、エネルギーの管理、取得、保存の面で大きな前進をもたらします。端的にいうと、エネルギーの取得と保存が可能になります。
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