IoTで生まれる新たな対応
機械が人間に、人間が機械に? IoTで突きつけられる4つの問い(2/2 ページ)
IoTの進化と曖昧になる機械と人間との境界線
IoTによって、以前は考えられなかったような量のデータを識別および分析し、そうしたデータに基づいて行動する能力が飛躍的に向上している。IoTデータを使用することで、利便性や効率性の追求をはるかに超えた、専門分野を複合的に組み合わせたテクノロジーのユースケースが実現する。IoTテクノロジーの発展によって、人間と機械の境界線が曖昧になる進化が生じている。このような形の進化は彼のダーウィンも想像すらしていなかっただろう。
IoTの進歩により、科学やテクノロジー、工学、数学の分野は前例のないレベルの発展が見られる。それも、個々の研究分野と、あらゆる分野にまたがる研究と発明の両方で、そのような事象が発生している。例えば、次のようなものが挙げられる。
- ロボット工学:人工的な感覚処理の数と効率を高め、これに以前にも増して高度になった機械的アクチュエータとそれをつなぐネットワークを組み合わせている。これにより、物理世界での動作を全自動または半自動的に制御することを意図した機械が製造されている。自動運転車がその好例だ。
- 機械工学:触覚センサーテクノロジーが活用された兵器やロボット工学に加え、同テクノロジーが活用されたリモートでの診療、診断、手術の応用で用いられるセンサーやアクチュエータが代表例だ。
- 医療:埋め込み型センサーやウェアラブルセンサーを使用することで、患者の健康状態に関する情報を収集し、計算や分析をする施設と無線で通信する。この施設は医療研究者や医師により運営される。必要性に応じて患者の適切な投薬量を管理する細かいデータをセンサーからリアルタイムで受け取る。
- 神経科学:人工の埋め込み型のセンサーとアクチュエータを人間の神経系やその他の重要な器官に直接接続し、リモートで制御できるようにする。また、患者自身の考えや脳の活動によって制御可能にする。つまり、義手や義足のような義肢が接続されることで、その患者は生まれながらに備わっている手足とほとんど変わらない形で義肢の使い方を制御できる。
- 環境科学と生態学:センサーとアクチュエータの広範囲なネットワークによって、スマートグリッドを制御して大気環境や水質をより適切に管理できる。また、天候や気候の認識と予測を通じて農業生産が改善される。
- 製造工程管理:早くからIoTを利用し、成熟している分野の1つであり、ロボット工学やコンピュータ支援設計(CAD)、コンピュータ支援製造(CAM)における進歩によって発展してきている。多くのデータセンターが「完全自動」運用になっているのと同様、製造管理とサプライチェーンマネジメントと現在見なしている管理作業の多くが今後同じような道をたどると考えられる。
- 人工知能とディープアナリティクス:研究が始まって最初の40年は、主に分野の片隅でほどほどの影響力があるにすぎなかった。だが、この10~15年で、それぞれの分野自体の発展とあらゆる分野での発展を実現する原動力となっている。
IoTの進化に関する4つの問い
現状を考察し、現在の傾向が同じようなペースで続くか、それともペースがもっと早まると想定するにしても、否定しようがない幾つかの見解がある。それは、機械がより人間らしくなり、人間がより機械らしくなるということである。そして、少なくとも今ならまだ、不快感を覚えることや全く受け入れられないことから手を引けるということだ。
自問自答をお勧めする以下の質問は、非常に包括的で広範囲に影響が及ぶものだ。「データの所有権が誰にあるのかを定義し、管理するにはどのようなポリシーを定義すればよいのか」「個人情報にアクセスして更新する権利は誰にあるのか」といったものよりもずっと広い。もちろん、これらも対処が必要となる重要な問題ではある。だが、自分たちの子や孫、ひ孫の未来が明るくなるように、このような疑問ではなく、今のうちから次のようなことを問いかけることをお勧めしたい。
- 機械が人間らしくなることをどの程度まで良しとするか。
- 人間が機械らしくなることをどの程度まで良しとするか。
- 人間を人間足らしめているものは何か。それは心臓なのだろうか。既に人工心臓が受け入れられていることを考えると、そうではないだろう。主な臓器移植は公然と利用されており、機械式臓器が利用される日も遠くない。また、本来の機能への負傷や身体への不慮の事態、さらに深刻な状況を補う機械式の義肢には有難みを感じている人も少なくない。次は人工脳が誕生するのだろうか。
- 人間の能力を拡張する「拡張人間」(Augmented Human)が高度な機械と区別できなくなる域に達することはあるのか。そうなるとしたら、それで良いのだろうか。良くないとしたら、手遅れになる前に何を今すべきなのか。それとも既に手遅れなのだろうか。
恐らくIT幹部として、さまざまな種類の方針マニュアルについて、検討して、共同研究をする必要がある。優秀な科学者や生物学者、発明家、哲学者、社会学者、人類学者、心理学者などによるすばらしい仕事に敬意を払い、人類の新たなマニュアルには「種の起源2.0」という題を付けるべきであろう。
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