平らな電子部品から解放
技術の2大トレンド、「IoT」と「3Dプリント」の連携が生み出す破壊的ビジネスとは(1/3 ページ)
3Dプリンタを活用することで、モノのインターネット(IoT)デバイスのパーツをより迅速かつ効率的に試作、生産できるようになるかもしれない。
モノのインターネット(IoT)と3Dプリントは、テクノロジーの歴史で大きな2つの流行語であるように見えるだろう。突き詰めると、IoTは、インターネットに接続しているアプリケーションやデータとは異なる。IoTは、3次元空間を占有し、デバイスを制御したり、データを持ち帰ったりする電子装置といった物理素材を使用する。CADの設計から単純なものを安価に素早く生産できる3Dプリンタの機能は、試作を楽にしてくれることから、設計者にすばらしい恩恵をもたらす。
そして、ここ数年で、IoTと3Dプリントの融合が見られるようになっている。IoTデバイスの大部分を占める電気回路や、印刷された回路基板などの試作に加えて、製造にまで3Dプリントが導入されている。
古き良き2Dレーザープリンタは、平面の回路設計図をプリントするために、使われてきた。こうしてプリントされた設計図は、まっさらな銅被覆の「FR4(難燃性グラスファイバー)基板」に移される。銅被覆のFR4基盤に移すことで、回路導線の間にある保護していない全ての銅線に化学薬品を侵食する「エッチング」から銅線を保護する。
現在市販または開発されている“3D”基板試作プリンタのほとんどは、3次元空間で導電インクによって2次元の線(配線)をプリントしているにすぎない。その際、X軸、Y軸、Z軸に沿って動かすことができるプリンタヘッドを使用する。
積層造形法
ここで重要となるのは、3Dプリントがゼロの状態から品質を付け加えていく点だ。まず、まっさらなグラスファイバーかプリント基板の1つである「フレキシブル基板」を用意する。この過程における唯一の金属作成回路は、3Dプリンタのノズルから噴霧、またはインクジェットによりプリントされるインクに含まれる銀のナノ微粒子だ。これは熱可塑性物質を3Dプリントするのと同じように、何もないところから層を重ねて、3次元の固体を形成する。
3D回路基板プリントが製品レベルにまで発展すれば、現在使用されている多くの有害なエッチング化学薬品や銅メッキと決別できる。だがまだその段階には達していない。Gartnerで半導体製造とプロセス開発分野リサーチ部門のバイスプレジデントを務めるディーン・フリーマン氏は、その段階に到達するまでには少なくとも後5年の歳月を要すると考えている。
現在、プリント基板(PCB)の3Dプリントは一般的に企業や大学の研究所、軍需産業、最先端の実験的な電子機器設計者の間で利用されている。このようなユーザーの多くは、3Dプリントを使うことで、社内限定で使用する試作作成機器で時間と費用を大きく削減できる。その場合、通常ではできないリスクの高いプロジェクト案の基板を設計することが可能だ。今のところ、PCB設計者が3Dプリンタを使用することで得られる最大のメリットは、短納期で安価に生産できることだ。3Dプリンタがあれば、これまで数週間を要し、アジアを拠点とするサードパーティー試作メーカーの協力を得るためのプロセスが、数時間で済むようになる。さらに、3Dプリンタの初期投資は比較的小さく、エンジニアはより不確実なアイデアを試作できる。これはIoTに関する発明に多大な価値をもたらすメリットだ。
テッド・バイダ氏は、Exact Assemblyの創設者で、埋め込み電子機器の設計者だ。同氏は、スタートアップのBotFactoryが開発した3Dプリンタ「Squink」を所有している。同氏は、ネズミ捕り発明家がより高性能なネズミ捕りを製作するのを後押ししている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ゾーホージャパン株式会社] サイバー攻撃からネットワークを守る上で確実に押さえておきたいポイントとは? -
事例
[アルプス システム インテグレーション株式会社] 中小企業でも安心して活用できる「手ごろなSOCサービス」とは? -
製品資料
[株式会社シーイーシー] 脱VMwareに成功した企業は何をどう実践した? 事例に学ぶ戦略立案&実装のコツ -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] ランサムウェア攻撃を“二重の防御構造”で防ぐ、クラウド型基幹システムの実力 -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] 動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
Microsoft激怒のゼロデイ脆弱性「無断公開」 パッチを待つのが危険な理由
-
5
「Excel管理」では限界――製造現場の改善が進まない“隠れた原因”
-
6
NECの「BluStellar」に必要なデータ保護と活用のための技術とは
-
7
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
8
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
9
Windows Server 2025移行の“超難関”「Active Directory」問題解決ガイド
-
10
ランサムウェアに悪用された“Windowsの穴”とは? パッチで直らない脆弱性も
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
3
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
8
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー