スーパーマーケットにも3Dプリンタ
「3Dプリント料理専門店」も登場、世界を変革する3Dプリントの衝撃
小売業や製造業、医療業界において「3Dプリント」が注目されている。それぞれの業界でどのように活用されているのか紹介する。
3Dプリントは、世界を変革する技術である。3Dプリントの影響は驚くほど大きい。オーダーメイドのスマートフォンカバーを設計してプリントすることから、臓器の再生に至るまで、その可能性は無限に広がっている。もちろん、臓器は人間の臓器のことである。3Dプリントをさらなる高みに昇華させる役目を担う十億ドル規模の企業による計画を見る前に、3Dプリントの現状を確認したい。
現在、3Dプリンタは、さまざまな素材を使って物体を“プリント”できる。使用可能な素材には、プラスチック、金属、生物学的物質、さらには食べ物までが含まれる。
オランダのあるスーパーマーケットチェーンは、3Dプリンティングサービスの提供を開始した。このサービスは、顧客がDoodle3Dの「Doodle3D」と各自の創造力によって、ケーキのデコレーションを自由にデザインできる。Ferreroのチョコレート風味のスプレッド「nutella」や溶かしたチョコレートといった多様なトッピングを使って、希望のデコレーションをケーキにプリントできる。また最近は、ロンドンを本拠地とするFood Inkが、「世界初の3Dプリントレストラン」を開店した。このレストランは料理だけでなく、食器や調度品も全て3Dプリントで作っている。
生物学的な3Dプリントは、「バイオプリンティング」と呼ばれ、医療産業にとって大きな可能性を秘めている。サンディエゴに本拠地を置く医学研究企業のOrganovoは、「バイオインク」と呼ばれる生体細胞を使用してプリントすることで、“実用的なヒト組織”を作成することができる。また「補綴(ほてつ)用としてのヒトの骨や組織をバイオプリンティングできるようになり、医学界に大きな進歩を遂げられる日も近い」と、日本の科学者は報告している。最新のニュースでは、Wake Forest Baptist Medical Centerが、3Dプリントした耳、骨、筋肉構造を実験動物に移植することに成功したと報じている。
現時点で、一般消費者の大部分は、プラスチックの小さな像など卓上サイズの物を作るといった細かい作業に対応した高価なデスクトップ3Dプリンタを買うことしかできない。ハイエンドな商業用3Dプリンタは1500ドル以上の値が付く。ローエンドまたは小型の3Dプリンタは、300ドル程度のものも登場している。
いまだ所有コストが高価な3Dプリンタだが、オンライン小売業者の多くが、まだ初期段階にある市場に急いで参入している。Amazonの「3Dプリントストア」は、宝飾品類から技術用装備品まで、幅広いオーダーメイドの商品を提供している。この目新しい小売商品が利益をもたらす可能性に目をつけたのは、Amazonの創設者でCEOのジェフ・ベゾス氏とその仲間だけではない。他にも、3Dプリントを使用した小売商品(楽器、タブレットスタンド、壁掛け時計)のニーズを満たすべく、Shapeways、Sculpteo、Thingiverseの3社が誕生している。
さらに3Dモデルの販売に特化したWebサイトも存在している。3Dプリンタを持っていれば、そのWebサイトからデザインをダウンロードして、プリントすることができる。MyMiniFactoryの「MyMiniFactory」やThingverseの「Thingverse」といったWebサイトは、無料でダウンロード可能なデザインを多数提供している。これらのサイトは、3Dモデルのデザイナーが製作したデザインの売り上げに対する手数料を得るためのプラットフォームとしても機能している。
数多くの業界で、3Dプリントを生産プロセスと配送プロセスに導入することで得られる可能性に対して、ばく大な投資をしている。その傾向が最も顕著なのが自動車の製造業で、その後に消費者向け商品メーカーと企業向け商品メーカーが続いている。それから、医療や学術、航空、軍事といったその他の分野でも、3Dプリント技術の追求を積極的にしている。
近頃、MakerBotを傘下に収めるStratasysの株価が目に見えて急落したことを受けて、CNNMoneyは「3Dプリント革命はもう終わったのか」と問いかけていた。だが3Dプリントの可能性やMakerBotの3Dプリンタの性能と、投資家が抱える不安に関連があるかどうかを見定めるには時期尚早だ。しかし、このように若くて無限とも思える3Dプリント業界について唯一断言できることがある。それは、この戦いを制する企業が全く読めないことだ。
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