セルフサービスによるプロセス自動化を実現
IT部門の働き方改革、ワークロード自動化(WLA)ツールの主要製品とは
ここ数年で、ワークロード自動化(WLA)ツールには幾つか進歩が起きている。つまり、WLAツールには改善の余地があるということを意味する。
ワークロード自動化(WLA)は、日時だけでなく、イベントをトリガー(きっかけ)にして、レポートの実行や、ワークロード(ジョブ)のスケジュール設定が可能になった。
この場合のイベントとは、レポート、パスワード変更、構成の更新といった項目に対するエンドユーザーからの要求だ。忙しい管理者がユーザーやヘルプデスクからメールを受け取れば、その返信に数分から数時間かかる可能性がある。また、最初の問い合わせに答える際に、管理者がその要求を別の部門の誰かに伝え忘れることもある。人間は誤りを犯すものだ。残念なことに、メールが完全に消えてしまうという事態も発生する。
セルフサービスの自動化を導入すると、ボトルネックとなる人間がいなくなり、エンドユーザーは自動化を享受して、独自のワークフローを駆使できるようになる。そう話すのは、調査会社Gartnerアナリストのロバート・ナエグル氏だ。管理者はセルフサービスのポータルを設定して、経営者、一般職、経理担当者などのユーザーの役割ごとに、付与するアクセス権の数と性質を決定する。セルフサービス自動化によって、エンドユーザーは管理者の代わりにプロジェクトを開始できる。このように、潜在的ボトルネックとなっていた人間を取り除くことで、時間を節約し、管理者がより戦略的なタスクに専念できるようになる。
セルフサービス自動化で生産性を向上
大手公共事業会社の管理者は、ソフトウェアベンダーCA Technologiesのセルフサービス製品「CA Workload Automation AE(AutoSys)」を20年以上にわたって使用しており、WLAに精通している。匿名でインタビューに答えた同社のワークロード自動化管理者は、AutoSysの最新バージョン「11.3.7」を高く評価していた。このリリースにはさまざまなオプションがあるが、特に注目したいのは、標準API、SQLコマンド、プラグイン、コマンドラインインタフェースを利用できることだ。
AutoSysでセルフサービスを自動化すると、AutoSysで監視できるプロセス1つに対して、1つスクリプトを作成するだけでよい。そのため、管理者の時間を節約できる。AutoSysでは、タスクが正常に完了したときに独立したプロセスとシステムをトリガーとして実行することもできる。
ナエグル氏によると、IT部門の仕事は、エンドユーザーのためにビジネスプロセスを作成して担当、管理することではなく、プロセスを自動化してエンドユーザーがタスクを開始できるようにすることだという。エンドユーザーはIT部門が要求を優先して処理するのを待つ必要はない。管理者も、他の仕事を中断してバッチ処理を実行したり、ユーザー向けのレポートを取得したりすることもなくなる。
この公共事業会社では、エンドユーザーはさまざまな作業グループの運営管理者だ。セルフサービス自動化の導入によって、誰もが自分の作業を中断することなく続けられるようになっている。運営管理者は、サーバ管理者にサポートを依頼しなくても、サーバのステータスレポートにアクセスできる。また、データベースの読み取り専用ビューを利用できるため、データベース管理者が情報を取得して整理する必要がない。
「ビジネス自動化というよりも運営自動化だが、自動化対象はビジネスサービスだ。ビジネスで必要とされているサービスを提供しようと試みている」(ナエグル氏)
テクノロジーに精通していないユーザーでも安心
AutoSysは、セルフサービス自動化市場での競争に巻き込まれている。競合するのは、Cisco Systemsの「Cisco Tidal Enterprise Scheduler」、IBMの「IBM Workload Automation」、BMCの「Control-M」などだ。
セルフサービス自動化は、要求の処理速度を高め、IT部門が作業を中断しなくてもよくなるため、エンドユーザーから好まれている。だが、BMCのアプリケーションの重要性は顧客とニーズの間で異なっていると分析するのは、ITサービスを提供するAtec Groupでワークロード自動化のアシスタントマネジャーを務めるラエール・ミストリー氏だ。
テクノロジーに精通していないかもしれないエンドユーザーにITシステムを任せるのは、災害が発生するのを待つような気持ちになる。だが、Control-Mは、エンドユーザーが開始できるジョブや操作の範囲を管理者が絞り込むことができる。特に、ユーザーが外部のベンダー、組織、プロセスに所属している場合は、この機能が役に立つとミストリー氏は指摘する。問題が発生したり、依存するプロセスを起動するプロセスに遅延が発生したりする場合はどうなるだろう。「そのようなジョブはBMCのセルフサービスを使用して保留にできる。このようにして、解決に時間のかかるエラーから保護できる」とミストリー氏は話す。各ユーザーにどのデータへのアクセス権があるのか、特定の職種や部門に属するユーザーがどの操作を行えるのかといったことは全て事前に定義されている。これにより、管理者はセキュリティの大惨事から免れることができる。
ワークロード自動化の大きなメリットは、どのようなプロセスが失敗しても処理できる手順が組み込まれていることだ。使い勝手の悪いスクリプトではこのようにはいかない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
5
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
6
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
7
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
8
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
-
9
AI完全自律化はわずか9% 日本は「進化に追い付けない経営陣」が足かせに
-
10
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー