教育機関IT活用・セキュリティ座談会【第2回】
「LINE禁止」ではなく「あえて失敗させる」 IT先進校が語る学校セキュリティ対策(1/2 ページ)
企業だけでなく、教育機関にとってもセキュリティは重要な問題だ。教育機関は、セキュリティにどう向き合うべきなのか。先駆的なIT活用校の教員と、専門家との議論から探る。
教育機関にとってITがより身近な存在になりつつある一方で、重要性が高まりつつあるのがセキュリティ対策だ。教員や学習者が、学校生活のあらゆるシーンでITを活用するようになれば、悪意のある人にとっての攻撃面が広がることになる。クラウドサービスや私物端末の活用といった取り組みが進み、防御の境界面があいまいになれば、想定していなかった脅威に直面する可能性も否定できない。
セキュリティに対して教育機関はどう向き合い、どう対処すべきなのか。第1回「『VTuber』が先生に? 佐日中等、関東第一が語る学校IT活用の今とこれから」に続く本稿では、実際の教育現場で先駆的なIT活用校を進める佐野日本大学中等教育学校の安藤 昇氏と、関東第一高等学校の横山北斗氏、加えて教育機関のセキュリティに詳しいラックの武田一城氏が語り合う。
参加者(所属・役職は取材時)
安藤 昇氏 佐野日本大学中等教育学校 ICT教育推進室室長
横山北斗氏 関東第一高等学校 教務部長
武田一城氏 ラック マーケティング戦略室長
モデレーター
宮田 健氏
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―― 教育機関では、どのようなセキュリティの脅威に直面しているのでしょうか。
安藤(以下、敬称略) 生徒の個人情報を保有していますから、外部からその情報を狙われる可能性があります。より怖いのは内部からの漏えいです。内部関係者が故意や過失で、情報を外部へ流出させてしまう可能性はゼロではありません。
武田 内部からの情報漏えいの場合、無邪気な行動の結果として漏えいを引き起こしてしまうケースが目立ちます。これは生徒に限った話ではなく、教員も同様です。
「禁止」ではなく“ぼや”を経験しながら使い方を学ぶ
武田 教育機関に限らず「情報漏えいなんてあり得ない」ことが前提だと捉えてしまい、IT活用に潜むリスクに対して見て見ぬ振りをしている組織が少なくありません。こうした前提を本当に実現しようとすれば、その手っ取り早い手段はIT活用の禁止です。ITに関する専門知識も、お金も、技術も限られる教育機関の場合、「禁止するしかない」という結論に至ってしまうこともあるでしょう。
横山 IT知識が豊富な教員ばかりではない現状を考えると、IT活用を禁止したいという教員の気持ちも分からなくはありませんし、仕方ない面もあります。
安藤 コミュニケーションツールの「LINE」を使った情報漏えいやいじめが、世間で問題になったことがあります。うちの校風かもしれませんが、こうした報道があった際もコミュニケーションツールの利用を禁止せず、むしろ教員や生徒には積極的に活用してもらいました。
どのような手段であれ、使ってみなければ、その良さは分かりません。「教員は生徒と一対一でのやりとりをしない」といった最低限のルールを設けた上で、取りあえずITツールを使ってみることが大事だと考えています。その上で課題が明らかになれば、どう改善すべきかを考えればよい。禁止してしまえば、こうした状況から学びを得る可能性を奪うことになりかねません。
横山 生徒には「うまく失敗する」経験や、ちょっとずつ失敗を積み重ねていって「こういうことをしてはいけないんだな」と学ぶ経験をしてもらいたいと考えています。教員側も「うまく失敗させる」仕組みを作ることができればよいのではないでしょうか。
安藤 いじめもそうだと思いますが、実際には頻繁に失敗は起きているけれど、誰も公には言わない。「失敗しないことが美徳」「情報漏えいはあり得ない」といったことが前提になっているからです。こうした意識が変わり、ざっくばらんに話ができるようになるといいですね。
今の子どもはLINEに加えて、「Twitter」「Instagram」といったソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のアカウントをたくさん持っていて、自分たちで失敗しながら使い方を覚えていきます。たまにちょっとしたトラブルに遭遇することもありますが、こうした“ぼや”を経験しながら実体験で学んでもらう意味は大きいと考えています。
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教育機関IT活用・セキュリティ座談会
先駆的なIT活用を進める教育機関は、どのような取り組みを進めているのか。ITの普及とともに重要性が高まるセキュリティの脅威には、どう対処しているのか。現場の教員とIT専門家との座談会から探る。
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