2018年の注目発表を振り返る
新型Apple Watch Series 4とARに熱視線、プロたちはAppleイベントのどこに注目したか
2018年のAppleイベントで発表された新製品について、アナリストたちは、心電図機能と転倒検知機能を内蔵した「Apple Watch Series 4」と、機能向上した「ARKit 2」にビジネス用途の可能性を見出している。
9月初旬と言えば、Appleの新製品発表会の代名詞となっている。
過去のAppleイベントは大きな注目を集め、イノベーションに満ちていた。だが2018年のイベントは、印象的な部分もあったものの、後半になるほどすぼみがちな印象だった。
2018年のAppleイベントは、新型「iPhone」の3モデルと、医療用途の新型「Apple Watch」、さらに臨場感の高い拡張現実(AR)体験を可能にする「ARKit 2」の性能向上などが主眼だった。
Gartnerの主席調査アナリスト、テュオン・グエン氏によると、2018年のAppleイベントで企業にとっての最大のニュースは、新しいiPhoneではなく、「Apple Watch Series 4」関連が中心だった。新たに内蔵された心電図(ECG)機能や心拍測定機能も魅力的だが、さらに興味深いのは、米国食品医薬品局(FDA)の認可を受けている点だという。これは真の差別化を図る要因であり、セールスポイントになるとグエン氏は予想する。
FDA認可を取得したApple Watch Series 4は業界に変化をもたらすのか
「FDAの認可を取得したことで黙示的に有効性が示唆され、さらに多くのユーザーにApple Watch Series 4が受け入れられやすくなるなど、数多くの道が開ける。保険会社が保険金支払いの目的でこの端末をチェックする可能性も開けるほか、FDAの承認を受けるための競争にも火が付くかもしれない」と同氏は言う。
かつて苦戦してきたスマートウォッチ業界にとって、これは何もかも朗報だ。だが企業にとってはどんな意味があるのか。
グエン氏によると、これまでのところ、スマートウォッチなどのウェアラブル健康器具はそれほど普及していない。だがあらためて関心が高まったことで、企業はこうした端末やそのデータをどう管理するかに目を向けざるを得なくなるかもしれない。
「これは人材とスキルおよびインフラの変更を伴う。保険会社が絡む場合、Appleの言葉を借りれば『始動する』動機を従業員に与えるもう一つの手段になるかもしれず、IT部門にも、より差し迫った影響を与えるだろう」とグエン氏は話す。
Gartnerの調査担当副社長、アネッテ・ジマーマン氏は、新型Apple Watch Series 4の緊急通報機能(転倒して1分以上動かなければ自動的に緊急通報電話をかける)について、社外の現場で働く従業員がいる企業にとって素晴らしい機能だと指摘する。
「私がこの12カ月あまりの間に話をしたIT管理者の多くは、単独で働く従業員の状況を把握したいと望み、転倒事故に対応できる技術を求めていた。Apple Watch Series 4は、この用途で助けになり得る」(ジマーマン氏)
精彩を欠く発表
業界アナリストは全般的に、2018年のAppleイベントについて、機能強化は大きいものの、驚きは乏しいと評した。宣伝された機能強化は根本を揺さぶるものというよりは、付加的なものと見なされている。
Forrester Researchのアナリスト、ジェフリー・ハモンド氏は、「私から見ると、(Appleが発表したのは)累積的で、大型化し、さらに高価になった端末だった」と論評し、今回のイベントで発表された内容に、特に目立って影響が大きいと思われるものは何もなかったと言い添えた。
Gartnerのグエン氏も、2018年のAppleのイベントは精彩を欠いていたと振り返る。一部では、「最近の記憶の中で最も期待外れだったiPhoneの発表の一つ」と評する声もある。
「Sモデルについては、大幅な向上という点において、共有すべきことはあまりない。スマートフォンは、Apple製品も含めてあまりに良くなりすぎたため、ほとんどの人にとって違いが分かりにくくなり、あまり気に留められなくなっている。これが(端末の)最新バージョンだと言わなければ、気付いてもらえないかもしれない」(グエン氏)
Constellation Researchの主席アナリスト、R・レイ・ワン氏は、自分たちの期待が高まったことも一因だと解説する。われわれは時として、大胆で革新的な進歩を期待する。だがモバイル技術があまりに進展したために、今後期待できるのは累積的な改善にとどまる見通しだ。たとえニュース価値のある技術の進展が存在したとしても、コストが足かせとなって普及型の端末への採用を阻むこともある。
「例えば、無色透明ガラスのiPhoneの技術は存在していても、あまりに高額だ。Apple Watchにカメラを搭載すれば素晴らしいかもしれないが、まだコスト効率的ではない」とグエン氏は話す。
この短期的で累積的な戦略が、競合他社との差別化を図る上でどの程度Appleの助けになるのかは、時間がたてば分かるだろう。
ARの存在感
Constellation Researchの主席アナリスト、アラン・レポフスキー氏にとって2018年のAppleイベントで最も目を引いたのは、Appleが引き続き拡張現実(AR)に重点を置き、革新を続けている点だった。「仮想現実用ヘッドセットのイメージの方がSFによく登場することから一般的かもしれないが、ARの方が参入に多少の障壁はあるものの、現実的な影響ははるかに大きい」と同氏は言い、次のように指摘した。
「iPhoneとARKitがあれば、画面で見ているものを拡張されたデータとインサイトで簡単に強化できる。現在利用できるアプリケーションは私生活で使うためのものがほとんどだが、ビジネス関連のアプリが間もなく爆発的に登場するだろう」(レポフスキー氏)
ハモンド氏も「潜在的可能性が大きく興味深いARのデモもあった」との見方で一致する。ただし同氏によると、スマートフォンやタブレットのARは常に一定レベルの没入性で頭打ちになり、そこから先へ進むのが難しい。「次に大きく飛躍するための真に的を射たハンズフリー端末が登場するまで、この累積的リリースのサイクルが続くかもしれないと不安を感じる」と同氏は話している。
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