AWSなど各種ベンダーが提供
機械学習インフラの複雑さを解消するクラウド型GPUツールスイート
GPUを利用した機械学習インフラの構築には技術的な障壁が残る。ある企業はGPUベースのインフラ構築プロセスの一部を自動化するPaaSを開発中だ。これを使えば、AI技術の構築にかかる労力と時間を削減できるかもしれない。
深層学習や機械学習は、これまでにない革新的なハードウェアの呼び水になる。しかしそのように高度なインフラでジョブを実行するのは容易なことではない。期待の高さにもかかわらず、チームはGPUやTPUを利用する最新の機械学習インフラにジョブを移行させる試みに開発時間の大半を奪われている。
こうした問題が契機となり、GPUをクラウド内の機械学習インフラで正しく動作させるため、ライブラリなどソフトウェアの要素をコンテナにまとめる作業を自動化する、データサイエンスプラットフォームへの関心が高まっている。
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〇高まるGPUの需要
GPUを活用したインフラ構築
クラウドベンダー、「Hadoop」ディストリビューションプロバイダー、機械学習の専門家などがこうしたソフトウェアを展開している。スタートアップ企業の中でもこの問題を追及しているのが、PaaSを専門に扱うPaperspaceだ。同社は幅広い開発者グループが反復性の高いニューラルネットワークベースのAIワークロードをGPUなどのハードウェアに導入できるよう、同社のソフトウェアを強化している。
機械学習インフラの構築プロセスを自動化するPaaS
2018年初頭、Paperspaceはニューラルネットワークをトレーニングして、GPUクラウドジョブを実行するためのツールスイート「Gradient°」を発表した。このスイートは、開発者がローカルジョブをクラウドに送り込んで、処理できるようにするジョブランナーを含み、コンテナとデータ分析ツール「Jupyter Notebook」の実行をサポートする。
GPUは、以前は簡単に利用できなかったある種の並列コンピューティングを可能にする。GPUは大きなデータセットを処理できる広い帯域幅を提供するため、深層学習ニューラルネットワークのトレーニングに広く導入され始めていると話すのは、Paperspaceの共同創立者兼CEOのディリオン・エルブ氏だ。しかしソフトウェア開発者も含め、誰にとっても未知の世界だ。「ハードウェアの黄金時代がくるかもしれない。だがそれはインフラの管理が大変になることも意味する」(エルブ氏)
GPUはこの先複雑さを増していく状況の一部にすぎない。今後数年、ハードウェアの異なるオプションの数は増えていくだろう。こうした事実がハードウェアを抽象化するテクノロジーアーキテクチャを導入する適切な理由になるとエルブ氏は考えている。
「現在機械学習に関心を寄せるユーザーは、各要素を構築し、それを1つにまとめる作業に膨大な時間を費やしている」とエルブ氏は話す。Paperspaceは、クラウドサービスの一環としてインフラを構築する方法を模索している。
技術者も兼ねるある医師は、PaperspaceプラットフォームがGPUクラウド上での機械学習ジョブ実行に必要な作業を容易にすると考えている。
「当院のエンジニアチームは、多種多様なプラットフォームを利用してきた。そしてGradient°に出会った。このプラットフォームは今までのプラットフォームと比べ、時間をかけずに優れた結果をもたらし始めた」と話すのは、米ニューヨーク州にあるスタートアップ企業MediVisの共同創立者兼COOのクリス・モーリー博士だ。博士は、診察や医療手術の計画立案に拡張現実の機能を利用する取り組みを進めている。
モーリー博士によると、Gradient°は機械学習インフラのセットアップに関連する手順の多くを統合するという。「Gradient°は、さまざまなAIライブラリの依存関係の処理や異なるバージョンの管理など、開発時間を浪費する作業を自動化する。このプラットフォームには、プロジェクトを円滑にするこのような要素が数多く含まれている」(モーリー博士)
将来の医学における機械学習ツールとGPU
モーリー博士のチームはGradient°など機械学習ツールの支援が必要だ。MediVisは、MRIやCTのデータのホログラム表現を映し出し、外科医や診断医が患者の身体や病状のデジタル表現を見ながら診察できるようにするフロントエンドを作成している。フロントエンドの作成に、拡張現実テクノロジーを利用する取り組みを約2年にわたって続けている。
MediVisはこうした取り組みに続いて、腫瘍の検出にAI技術を応用するバックエンドの作業にも取り組んでいる。目標はMRIとCTのデータを自動的にセグメントに分けて分類し、腫瘍などの異常を特定できるようにすることだ。それには強力な処理能力が求められる。
「医療画像での深層学習の利用は急速に広がっている。これを可能にする基盤テクノロジーの中にGPUが含まれる」(モーリー博士)
医師が腫瘍を観察する場合でも、通常の解剖検査をする場合でも、データセットの中から対象の要素を手作業で見極めるには多大な時間を要するとモーリー博士は話す。「これまでの方法と併せてPaperspaceのツールを使用すれば、こうした時間を短縮できる」(モーリー博士)
インフラの開発には各段階での時間短縮が重要になる。開発者が機械学習ジョブを設定するのに必要な時間の短縮も、診察医が医療画像を手作業で検査するのに必要な時間の短縮も、重要度としては変わらない。いずれにせよ、「インフラ面に時間を費やすことは本意ではない」とモーリー博士は話す。
GPUクラウドのジョブをサポートする機械学習プラットフォームはPaperspaceだけではない。H2O.aiのGPU専用プラットフォーム「H2O4GPU」「FloydHub」、Amazon Web Servicesが提供するGPUクラウドサービスなどもある。
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