Windows 7や10を配信
Microsoftの新仮想デスクトップ「Windows Virtual Desktop」とは何か?
Microsoftが「Windows Virtual Desktop」でDaaS(Desktop as a Service)市場に参入した。だが同サービスは、市場を主導する「Amazon Workspaces」との激しい競争に直面する。
「Windows Virtual Desktop」は「Microsoft Azure」(以下、Azure)のクラウド上で動作するMicrosoft純正の仮想デスクトップサービスだ。これによりMicrosoftは既存のDaaSプロバイダー、特にAWSとの激しい競争に直面する。
調査会社Enterprise Strategy Groupのアナリスト、マーク・ボウカー氏は「参入は出遅れたが、MicrosoftはAzureを使っている一部の顧客から直接話を聞いて、『Windows 7』と『Windows 10』を直接提供することに価値があると判断した」と解説する。
最大の価値はテレメトリー情報
Windows Virtual Desktopは「Microsoft Store」のアプリや既存のWindows業務用アプリと互換性があり、延長版のセキュリティ更新プログラムとサポートが必要な顧客には、Windows 7仮想デスクトップを提供する。だが、最も大きな価値は、Microsoftが「Office 365」や「Active Directory」を含む膨大な品ぞろえの製品から直接収集したデータを、Windows Virtual Desktopサービスと連携できる点にある。
「Microsoftには、そうしたさまざまな環境全てとユーザーのアイデンティティーを横断するテレメトリー(遠隔測定)の仕組みがある。これによってMicrosoftは、抽出した情報をフィードバックして、ユーザーやIT管理者の利便性を高めることができる」(ボウカー氏)。例えばセキュリティが侵害された際にIT担当者に通知したり、仮想デスクトップユーザーによる不審な挙動について警告を出したりすることもできる。
アナリストによると、同サービスはまた、同社が高い戦略性を見いだしているAzureを後押しして、幅広いクラウドサービスを提供し、ライバルに対抗する手段でもある。調査会社Enterprise Management Associatesのスティーブ・ブレーゼン氏によれば、Amazonが提供するDaaS(Amazon WorkSpaces)は5年前に導入されて急速に人気が高まり、一部ではオンプレミスの仮想デスクトップインフラに取って代わる存在になっている。
「MicrosoftにはAmazon Workspacesが顧客に提供しているのと同じ機能を持つAzureの基盤が必要だ」とブレーゼン氏は語る。
DaaSの成長
この数年でDaaS市場に弾みがついているのは、主にAWSのWorkspacesの普及によるものだが、Workspotのような小規模企業も貢献している。ブレーゼン氏によると、DaaSは大企業に訴求できる一方で、最近のDaaS市場の成長は中堅中小企業(SMB)によるところが大きい。SMBは、オンプレミス型の仮想デスクトップインフラ(VDI)のように大量の設備投資が不要な点にDaaSの価値を見いだしている。
米フロリダ州オーランドで開かれた「Microsoft Ignite 2018」では、セキュアなデスクトップの提供をシンプルにできる手段として、MicrosoftのDaaS参入が注目を集めた。
ジュエリー販売を手掛けるHelzberg DiamondsのWindowsネットワークエンジニア、チャック・ウォルケン氏は「更新プログラムを行き渡らせなければならない日常的な管理負担を軽減できるのであれば、価値はあるだろう。われわれは労力を減らしながらもっと多くのことをしなければならず、しかもアジリティー(敏しょう性)とセキュリティが求められる」と述べる。
パートナーとの競争
Windows Virtual Desktopサービスは表面上、Citrix Systemsのように以前からクラウドでデスクトップ環境を提供しているMicrosoftのパートナーとも競合するように思える。だがMicrosoftのブログによれば、同社はパートナーと連携する計画で「Microsoft Cloud Solution Provider」がWindows Virtual Desktopを付加価値サービスとして顧客に提供できるようにする方針だという。
「Citrix Systemsは顧客をクラウド消費モデルへ移行させようと力を入れており、これはそのモデルを加速させる助けになり得る。Microsoftがこのサービスを提供しても、Citrix Systemsは引き続き、より広範なデスクトップ管理サービスを顧客向けに提供できる」とボウカー氏は解説する。
一方で、他のサービスや、「VMware Workspace One」のような従来型のVDI管理ベンダーが提供するサービスの価値を巡っては、疑問を生じさせることになるだろうと同氏は予想している。
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