「Office 365」がAI技術で進化
Excelが自ら考えるようになるAI機能「Ideas」とは
Microsoftはオンラインオフィススイートの「Office 365」に、人工知能(AI)技術を駆使した新しい機能を盛り込んだ。中でも注目の機能は「Ideas」だ。
オンラインオフィススイート「Office 365」は、機械学習をはじめとする人工知能(AI)技術を用いた、多数の機能を搭載し始めている。こうした機能は、Microsoftの全般的なクラウド戦略における、Office 365の戦略的な役割を浮き彫りにしている。
Microsoftによると、Office 365のオンラインサブスクリプション契約は、この2年で急増。コンシューマー向けでは2018年7月現在で3140万件に達し、企業向けでも前年同期比で4割近く増加した。より多くのユーザーが、クラウドに安心してデータを預けるようになってきた。
調査会社Technology Business Research(TBR)の上級アナリスト、ミーガン・マグラス氏は、Office 365は「ユーザーがいち早く、進んでパブリッククラウドにデータを保存するようになったサービスだ」と解説する。
Office 365は、MicrosoftがAmazon Web Services(AWS)との競争で優位に立つために重要な存在だという見方で、アナリストは一致する。
調査会社Directions on Microsoftのアナリスト、ジョシュ・トゥルーピン氏は「Microsoftにとって、Office 365は同社のクラウドを主導する存在であり、同社がサブスクリプションモデルを固める助けになっている」と説明する。
TBRのマグラス氏によると、Office 365の存在感はあまりに大きいという。「AWSには『Microsoft Office』のように浸透した財産がない。たった1つの製品/サービスであっても、AWSは対抗できないだろう」と同氏は語る。
Office 365に加わったAI機能「Ideas」
Microsoftは、このほど開催したカンファレンス「Microsoft Ignite」で、AIベース機能である「Ideas」を披露した。IdeasはAI技術を駆使して、Microsoft Officeアプリケーション全般にわたるユーザーエクスペリエンスの合理化を図る。
例えばエンドユーザーが、プレゼンテーションツールの「Microsoft PowerPoint」でスライドを作成する際、Ideasがスライドのレイアウトやイメージを提案できる。表計算ツールの「Microsoft Excel」では、Ideasがデータを理解しやすくするための図表を提案する。
IdeasはこのほどExcelで提供が始まった。Microsoftはオンライン版PowerPointの「PowerPoint Online」を皮切りに、他のアプリケーションでもプレビュー版を導入する。
カンファレンスでMicrosoftは、Office 365と「Windows 10」、デバイスセキュリティツール群「Enterprise Mobility + Security」を組み合わせた「Microsoft 365」の新機能も披露した。その一つである「Admin Center」は、Microsoft 365の製品/サービス群を横断して監視・管理できるようにする。システム管理者の作業の効率化に役立つ。
Officeのオプション増加、ユーザーの混乱を招く恐れも
Microsoftは、Microsoft Officeの最新バージョンとなる「Office 2019」について、Windows版とMac版の両方を企業向けに提供開始した。同社によればコンシューマー向けにも「向こう数週間のうちに」提供を始める。
Office 365とOffice 2019が並行して提供される中、どちらが個別企業のニーズに最も適した機能を提供できるのかを巡り、「Microsoftはユーザー企業を混乱させるリスクを冒している」と懸念するアナリストもいる。AWSも、多様なサービスを提供することで「同じ問題に突き当たった」とマグラス氏は指摘する。
「顧客はAWSのサービスの充実度を評価しているが、ある程度までいくと、たくさんあり過ぎて消化し切れなくなり、どのサービスがどの用途に適しているのか分からなくなる」とマグラス氏は話す。AWSの状況は「Microsoftがアプリケーション側で直面している状況とは異なる」と同氏は説明。その上でAWSが「どれだけ多くのラインアップを打ち出すのかについては、目を配る必要がある」と指摘する。
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