エキスパートが歴史から語る
RPAはインテリジェントオートメーションへと向かう
1990年代に原型が生まれ、改良されてきたRPAツールは今、AIや機械学習、自然言語処理の進歩に伴い、新タイプに進化しつつある。
ロボティックプロセスオートメーション(RPA)は大きな期待を集めており、全く新しい新興分野のように見えそうだ。今やRPAツールは、AI(人工知能)ブームの一翼を担っている。だが、RPAツールのゆっくりとした着実な進化は、数十年前までさかのぼることができる。
RPAの一種が初めて登場してから、20年以上がたつ。今回、Serralaの技術および製品担当のシニアバイスプレジデントを務めるビシャル・アワシ氏に、RPAがどのように変わり、改良されてきたか、その一方で、基本的な自動化を実現するコア機能が、いかに変わっていないかについて話を聞いた。Serralaは、金融サービス自動化およびデータ管理ソフトウェアを手掛けるベンダーだ。
RPAとは簡単に言えば、これまで人手で行われてきた大量の反復的作業をソフトウェアやbotを使って自動化することだ。例えば、RPAは、災害対策におけるインフラのテストに使われる場合がある。これは一般的に、IT管理者が手動で行ってきた時間のかかる作業だ。RPAを利用することで、IT担当者は浮いた時間でより生産的な仕事に取り組める。
こうした時間や費用の節約効果が、RPAがホットなキーワードとなっている一因だ。使いやすさ(人間の働き手をシミュレートするRPA botが、システムに統合されることなく、システム上で動けば、より使いやすい)や、比較的低い初期コスト、選択肢が多いこともメリットだ。
アワシ氏はSerralaに入社する前は、DolphinでCTO(最高技術責任者)を務めていた。アワシ氏はこのインタビューで、RPAの進化について説明している。20年にわたってこの分野に携わってきたアワシ氏の言葉は、経験に裏打ちされた知識に基づいている。
編注:このインタビューは抜粋です。
RPAはどのように進化してきたのか
――RPAの進化はどのように始まりましたか。RPAはかなり昔から使われています。
ビシャル・アワシ氏(以下アワシ氏) 90年代後半にRPAの一種が登場し始めた。デスクトップマクロやスクリーンスクレイピングといった技術を使用するものだ。
われわれは当時、RPAビジネスを手掛けていなかった。だが、この分野には足りないものがあると考えていた。多くの大企業がERPシステムに投資していたが、依然としてアプリケーション間で大量のコピー&ペーストを手動で行っていた。そして、こうしたステップを自動化しようとする草の根的な取り組みがビジネス部門で行われるようになった。ビジネス担当者は、こうした作業を基本的になくし、ビジネスアプリケーションを最適化することをためらわなかった。
それが私にとっては、われわれが現在目にしているRPAの起源だ。その目的は、デスクトップツールから反復的な作業をなくすことだったと思う。基本的に、古いスクリーンスクレイピングやマクロ技術を使って、ユーザーが通常、デスクトップでマウスとキーボードを使って行っていることを自動化するわけだ。スクリプトを作ってユーザー間で配布することも行われていた。
こうした試みを全社的なフレームワークで実施することで、RPAの進化が次のステップを踏み出した。
われわれはロボティックスやソフトウェアを、クラス1、2、3という大きなクラスで分類することが多い。企業における基本的な取り組みは、ロボティックスクラス1の一般的な形態に相当する。これはRPAの最も低い段階だ。基本的に、一時しのぎ的なものといえる。これによってアプリケーションやビジネスプロセスが改善されたわけではないからだ。
――RPAはクラス2でどのように発展したのですか。
アワシ氏 われわれは、ユーザーが手動の反復作業を大量に行うのはなぜかをあらためて問い直した。そこでクラス2のRPAの出番となった。まだクラス1のRPAの原理に従っているが、ユーザーのデスクトップでの行動を模倣するのではなく、根底にあるバックオフィスアプリケーションの改善が焦点となっていた。ところが、こうしたアプリケーションは非常にモノリシックなアーキテクチャを採用していることが多い。そのため、メンテナンスがとても大変だ。
そこでわれわれは、拡張やアドオン、あるいはクラウドベースのアプリケーションによって、こうしたアプリケーション自体を最適化する方法を探った。こうしたアプリケーションの機能性を拡張し、作業の一部をバックグラウンドで自動化しようという構想だった。その狙いは、デスクトップでクラス1のRPAを使用する場合とは異なり、ユーザーとのやりとりを可能にするとともに、企業が既存のバックオフィスアプリケーションとの連携を柔軟に実現できるようにすることにあった。
例えば、買掛金の処理について見ると、大企業の場合、サプライヤーからの請求書の送付を受けて、その請求書を購入注文と照合し、さまざまな部署の承認を得るのは、手作業に非常に依存した紙ベースのプロセスだ。単純なプロセスに見えるが、大企業では、請求に応じて支払われる金額よりも、請求書のこうした処理手続きに掛かるコストの方が大きい場合もある。
しかし、クラス2では基本的に、ワークフローやトラッキングといった従来の自動化ソフトウェア技術が適用される。こうした技術は確固とした実績があり、作業を自動化するが、構造化されたルールに基づいて自動化を行う。そのため、基本的に、誰かがしっかりルールを記述する必要があり、大量の手作業が要求される。
――そこでRPAの進化は、今も革新が進んでいるクラス3の段階に入るのですか。
アワシ氏 われわれはクラス3において、AIツールに基づくモダンなコグニティブ機能の一部をソフトウェアで提供しようとしている。AIツールは、機械学習や自然言語処理を使用して、われわれが構造化されたルールを持っていない物事も自動化し始めている。そのシステムは、履歴やパターンから学習し、自らのために自らルールを作成できる。
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