各方式のメリットや選び方を紹介
デスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化に踏み切る前に解決したい4つの疑問
企業のIT部門が社内のワークステーションについて決めなければいけないことは2つある。1つは仮想デスクトップの提供方法、もう1つはデスクトップとアプリケーションのホスト方法だ。
仮想アプリケーションと仮想デスクトップを導入すれば、リモートワークステーションの提供が容易になり、IT部門の管理業務がシンプルになる。だがコストなどの要因から、仮想化が必ずしも理にかなっているとは限らない。
仮想アプリケーションと仮想デスクトップを導入すると、個々人の端末ではなくデータセンターにデスクトップとアプリケーションをまとめて保管できる。そうすることで、システム管理者はユーザーの行動をより直接的に管理あるいは監視でき、イメージを一元的に編集できるようになる。
企業がアプリケーションとデスクトップの仮想化をしようとした時、IT部門が下さなければならない重要な判断が数多く生まれる。例えばデスクトップをホストする方法や仮想アプリケーションを提供する方法などだ。
なぜ仮想デスクトップを使うのか
「問題なく機能しているなら変える必要はない」と言うのが物理デスクトップ支持者の考え方だ。こうした主張は減ってきているものの一理ある。物理デスクトップから仮想デスクトップに変えると、ユーザーの混乱を招く可能性があり、IT部門の仕事が増え、コストも増加する。
ただしこの主張は、管理の簡素化など、デスクトップ仮想化がもたらす可能性のあるメリットについて考えていない。物理デスクトップではデバイスごとに更新プログラムを適用する必要がある。一方で仮想デスクトップインフラ(VDI)やDaaS(Desktop as a Service)では、デスクトップを自動的に構成・更新・アップグレードできる。
仮想デスクトップでは、企業のインフラからリモートユーザーへ安全にリソースを提供することも可能だ。リモートワークがトレンドになり、モバイルワークステーションのニーズが増加し、多くの企業が仮想デスクトップを検討するようになった。機能を限定したシンクライアント端末を配布することで、企業はハードウェアコストの削減と管理の簡素化を実現できる。
VDIとDaaSならどちらを選ぶべきか
オンプレミスで仮想デスクトップをホストするのがVDI、ベンダーがホストする仮想デスクトップを購入するのがDaaSだ。
数百~数千の仮想デスクトップ利用者を有する大企業では、VDIによってデスクトップのカスタマイズとコスト削減を実現できる。中小企業や財務的な余裕のないIT部門には、VDI導入にかかる労力はメリットに見合わない。DaaSだとデスクトップのホストを社内でする必要はなく、外部のサポートも受けられる。
DaaSの場合でも、使用するデスクトップ分の金額を支払えばよい。ただしサービスの柔軟性が損なわれ、企業固有のニーズに一致しない場合がある。例えばDaaSは業界独自のセキュリティコンプライアンスを常に満たすとは限らない。
仮想アプリケーションのメリットとは何か
アプリケーションの仮想化によるメリットの多くは仮想デスクトップのメリットと共通している。アプリケーションの仮想化によって、ユーザーはローカル環境にデータを保存することなくアプリケーションにアクセスできるようになる。最も一般的な方法としては、サーバでアプリケーションをホストし、ユーザーのニーズに合わせてアプリケーションを提供する。デスクトップごとにアプリケーションのアクセス許可を設定することで、各端末にてアプリケーションのインストールや更新をする必要がなくなる。また、不要なアプリケーションを削除してストレージの使用量を最小限に抑えられる。
仮想アプリケーションの提供方法は幾つかあり、その一つがアプリケーションの階層化だ。この方法では、デスクトップとは別の階層に仮想アプリケーションを提供する。こうすると、仮想デスクトップイメージに変更を加えることなくアプリケーションをインストール・更新・管理できるようになる。これにより、ユーザーはあたかもローカルに保存されているかのようにアプリケーションを操作できる。通常の仮想アプリケーションはOSと通信することはないが、アプリケーションを階層化することでOSとのやりとりが可能になる。
デスクトップとアプリケーションを一体化させた環境として提供するのではなく、特定のバージョンのアプリケーションを任意のユーザーに導入できる。また、グループ単位でアプリケーションを導入することも可能だ。
アプリケーションのリモート実行という方法もある。この方法では、発行済みアプリケーションをユーザーに提供する。つまりアプリケーション自体をバックエンドにインストールし、リモートで実行できるようにする。各アプリケーションを個別に導入することも、ユーザーグループごとに導入することも可能だ。
ただし、仮想アプリケーションの導入は全ての場合に最適というわけではない。例えばグラフィックスを多用するアプリケーションではパフォーマンスに問題が生じる恐れがある。
リモートデスクトップセッションホストとは何か
企業がWindows Serverを使用する際、デスクトップやアプリケーションをセッションごとにホストするために「リモートデスクトップセッションホスト」(RDSH)が使用される可能性が高い。RDSHはWindows Serverの「リモートデスクトップサービス」(RDS)に含まれる機能の一つで、仮想デスクトップと仮想アプリケーションを全てホストし、手間のかかる作業の大半を代行してくれる。RDSHにより、管理の簡素化、パッチや更新プログラムの迅速な導入、リモートアクセス機能といった仮想化の代表的なメリットが実現できる。
仮想アプリケーションと仮想デスクトップの提供においてRDSHを最大限に活用するには、ユーザーごとにライセンスを保持するため、最低でもRDS用の「リモートデスクトップライセンス」も必要になる。ユーザーと仮想デスクトップないし仮想アプリケーション間の接続を提供するための「リモートデスクトップゲートウェイ」も欠かせない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー