スマートスピーカーにはプライバシーの懸念も
WeWorkが「Amazon Alexa for Business」の導入中止? 企業向け音声アシスタントの課題とは
法人向けのAmazon Alexaをいち早く採用したWeWorkが、実証試験音声アシスタントの導入計画を中止したと報じられた。企業向け音声アシスタントサービスが抱える課題とは。
法人向けのAmazon Alexaをいち早く採用したWeWorkが、2カ月の実証試験後、音声アシスタント「Amazon Alexa for Business」の導入計画を中止したと報じられた。
報道によると、コワーキングスペースを運営するWeWorkは、同社が世界中で管理している数百カ所のオフィスにAlexa for Businessデバイスを導入する計画を中断したという。これはコンシューマー製品大手のAmazonが、音声アシスタントの職場への進出を目指す途上で課題に直面していることを物語る。
WeWorkは、Amazonが2017年、Alexa for Businessを発表した際にスポットを浴びた、リリース当初からのパートナーの1社だった。同社は本社にAmazon Echoを試験的に導入し、将来的には世界中で企業向けにレンタルしているオフィス500カ所に導入を広げると表明していた。
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しかし米放送局のCNBCが匿名の関係者の話として伝えたところでは、WeWorkは2018年に入ってわずか2カ月でこの実験を中止した。WeWorkの広報はコメントせず、Amazonにも取材を申し入れたが返答はなかった。
Alexa for BusinessのWebサイトに掲載された顧客の一覧から、WeWorkの名は消えている。米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所や三井物産など、いち早く採用した大手としてAmazonが紹介していた複数の企業団体も今は掲載されていない。
この2社にもコメントを求めたが、反応はない。同様にAmazonの顧客ページから消えたVonageとBMC Softwareの2社は、まだこの製品を使っていることを確認した。
企業向け音声アシスタントの先行きは厳しい?
Alexa for Businessは電子メールと予定表、ビジネスアプリケーションを連携させることができる音声アシスタントサービスだ。ユーザーは音声コマンドを通じて会議を始めたり、ヘルプデスクの申し込みをしたりできる。Amazonは、社内で使う独自スキルを構築する顧客を支援している。だが多くの企業にとって、そうした技術はまだ優先課題ではないとアナリストは指摘する。
「われわれの調査では、仮想パーソナルアシスタントや会議室で音声操作を使うことへの関心はそれほど大きくないことが分かった。ITリーダーは、もっと優先すべき課題を抱えているか、この技術を導入する準備が整っていないと認識していた」。米Nemertes Researchのアナリスト、アーウィン・レイザー氏はそう語る。
WeWorkがAmazonとのパートナー関係を打ち切ったことについて、アナリストは詳細が分からないままコメントすることは控えている。Gartnerのアナリスト、ワーナー・ゲルツ氏は、今回のCNBCの報道について、同製品を使う他の企業から聞いた前向きな反応とは一致しないと話す。
「私が話せる限りでは、Alexa for Businessの導入・展開・採用は衰えることなく続いている。だから今回の記事の論調は私にとってやや意外だった。私の認識とも一致していない」(ゲルツ氏)
多くの企業は音声アシスタントにセキュリティやプライバシー上の不安を感じ、このデバイスが極秘の会話を意図せず録音してしまう事態を憂慮している。音声データが処理されてクラウドに保存されることに不安を持つ企業もある。
米Constellation Researchのアナリスト、アラン・レポフスキー氏は言う。「自然言語処理は、デバイスやアプリケーションの使用における障壁をある程度取り除いてくれる半面、特有の課題もある。声紋が意図するユーザーと一致しているかどうか確認することは、職場でのセキュリティに欠かせない」
Amazonはサービス業や高等教育をターゲットにする戦略を展開している。Marriott Internationalは、一部のホテルの客室にAmazon Echoのハードウェアを置く計画を発表し、セントルイス大学は8月に、学生寮全室にこのデバイスを導入すると発表した。
Amazon Alexa for Businessは、「Microsoft Cortana」や「Google Assistant」「Cisco Webex Assistant」と競合する。だがそうした各社はまだ、AmazonのAlexa for Businessのように、音声アシスタントを全社的に導入して管理するためのプラットフォームをリリースしていない。もう1つの製品である「IBM Watson Assistant」は、企業による独自の仮想アシスタント構築を支援している。
「社内にスマートスピーカーを導入することは、生産性を高めるようなメリットがある。一方で従業員や会社のプライバシーを天秤(てんびん)にかける必要にも迫られる。遅かれ早かれスマートスピーカーの時代が来るだろう。だがそこへ到達するためには越えなければならないハードルがある」。IDCのアナリスト、ウェイン・カーツマン氏はそう話す。
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