どのような認証方法を採用すべきか
何も信用しない「ゼロトラスト」ネットワークとは?
ゼロトラストネットワークでは、全てのデバイスのセキュリティが侵害されていて信頼できないものと見なす。セキュリティ確保のためには可変要素を用いた認証が欠かせない。
ネットワークの進化によってさまざま場所に接続できるようになったが、同時に攻撃者に狙われやすくもなった。
モバイルデバイスやクラウドの利用が広がったことで、ネットワークはこれらに適応して進化し、その境界が消滅しつつある。とはいえネットワークはいまだ、ゾーン(アクセスする領域に基づいてインタフェースをグループ化した区分け)に基づいて構築されている。社内LAN内にあるシステムが社内LANの外側にあるシステムよりも安全だと一般に想定されているのは、このゾーンによるものだ。現状のネットワークは、物理的または論理的に区分けし、さまざまなセキュリティレベルが設定されている。しかし長期的に見るとこれも機能しなくなることが分かってきた。
併せて読みたいお薦め記事
知っておきたい新しい時代のセキュリティ
- セキュリティの自動化とオーケストレーションは「企業のセキュリティ」をどう変える?
- 「クラウドセキュリティ」の5大脅威 「API」「IoT」から人的ミスまで
- モバイルセキュリティを危険にする「MDM」「EMM」「UEM」依存
ネットワークのセキュリティを高める
現状は、従来通り「チョークポイント」(ネットワーク間の接点)を使用して、ユーザーが用いるデバイスやネットワーク機器でフィルタリングをかけ、異なるゾーン間のトラフィックを監視している。だが、ゾーンを追加する必要が生じると、こうした方法は必ずしも効率的、安全、スケーラブルとはいえなくなる。セグメンテーションは現在の情報セキュリティにおける基本理念として採用されているが、「ゼロトラスト」のアーキテクチャにおいては、セグメンテーションやポリシー適用の方法に関する考え方が異なる。
「ゼロトラスト」の考え方と必要な認証方法
ゼロトラストネットワークでは全てのデバイスのセキュリティが侵害されていると見なす。このネットワークにおいて信頼性を判断するために役立つのは、ポリシーの適用、可変要素を用いた認証方法の採用、セキュリティを確保する上での基準となるセキュリティベースラインの設定などだ。
可変要素を用いた認証方法はゼロトラストネットワークにとってのみ重要であるだけではない。システム、アプリケーション、データへのアクセス権を取得する際にも重要になる。この方法において、システムやユーザーは、自身が名乗り出ることでその信頼性を証明し、認証の可否を判断される。
ゼロトラストネットワークの考え方を採用する際、認証方法の設定の仕方は複数ある。その方法はデバイスとユーザー、あるいはその両方に設定できる。
ネットワークの境界は徐々になくなってきており、ゾーンによるセキュリティレベルの設定はもはや信頼できない。そのため、全てのセッションにおいて適切に認証することが重要になる。これは、「X.509証明書」と二要素認証によるユーザーアカウントで実現する。これらの手法を組み合わせることで、強力な認証用の変数が作成され、リソース別の細かなアクセス制御が可能になる。ゼロトラストネットワークに認証された後は、この認証用の変数をリソースへのアクセス権付与の可否を判断する要素としても使用できる。
ゼロトラストネットワークを導入する場合は、認証の処理方法を理解しておく必要がある。ゼロトラストの考え方に基づくアーキテクチャにおいて、デバイスがアクセスできるリソースやデータを決める際、この認証がいかなるものかについて理解しておくことが欠かせない。
ゼロトラストネットワークは、デバイスやユーザーが必要なリソースのみにアクセスできることを基本とする「最小権限の原則」に基づく。これによってユーザーやデバイスが、どういった場所やアプリケーションへのアクセス権を得ているのかを明確に把握できる。これを実現するには一つの認証では不十分であり、ゼロトラストの考え方に適したポリシーを設定する必要がある。
デバイスやユーザーの身元を特定して認証の可否を判断するために、どのような要素を使用できるかを考慮する必要がある。システムとユーザーアカウントの組み合わせに基づいてポリシーを作成することが重要だ。このポリシーにより、可変要素を用いた固有の認証方法が設定できる。細やかにアクセス権を付与するためには、アクセス先、IPアドレス、ハードウェアの情報、セキュリティリスク、信頼性、認証方法などあらゆる要素がポリシーの対象になり得る。ゼロトラストネットワークにおいては、アクセス権を広げる妥当な理由が出てくるまで、ユーザーには常に必要最小限のアクセス権を付与しておくべきだ。
一部のベンダーは、比較的容易にゼロトラストネットワークを導入できるサービスを提供している。だが容易に導入できるということは、この場合の最重要な要素ではない。企業はベンダーに頼らなくてもゼロトラストネットワークを構築できる。とはいえ、独自にゼロトラストネットワークを構築するための人員や技術を持たない企業にとっては、そのようなベンダーを利用するのも有効な手段になる。
ゼロトラストネットワークを構築する一般的な方法は、ソフトウェア定義のネットワーク構築と似ている。この方法では、データプレーンを介した全てのシステムによる通信を暗号化し、ここにポリシーを適用する。この情報を同一ネットワーク内の、より下位のレイヤーまで届けることで、ユーザーやデバイスは迅速かつ安全にアクセスの可否を判断できる。また、信頼性やセキュリティリスクのスコアに基づき、個々のリソースごとにユーザーのアクセス要求を作成するという方法もある。
ゼロトラストを理解し活用するためには、次のような考え方を理解する必要がある。「ネットワーク内に存在する全ての要素を『警報機』にいったん通さなければ、いかなる信頼も与えない」ということだ。「決して信頼せず、必ず確認する」という合言葉を取り入れよう。そうすることでネットワーク内のセキュリティリスクを低減でき、攻撃者がネットワーク内を自由に動き回るのを防げるようになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー