企業向けのトレンドを読む
AIの未来予測、2019年は医療とFinTech分野に要注目(2/2 ページ)
医療分野
AIを使ったデータツールの導入は多くの業種で進むものとみられるが、中でも医療分野とFinTech分野では特に拡大すると専門家は予想する。
医療分野では、予算不足で時間はかかるものの、AIを使ったツールの導入は引き続き増えていくだろう。
深層学習やNLP、コンピュータビジョン技術が進歩することで電子カルテの作成と管理が容易になり、画像診断支援の普及にもつながりそうだ。
既に多くの医療関連プロバイダーが放射線画像診断の自動異常検知用に機械学習を使ったコンピュータビジョン技術を推進している。プロバイダー各社からは年々高いレベルの精度が報告されている。
AIベンダーInfolytxの共同創業者でCTOを務めるズナイド・カジ氏は、「利用できるデータがますます増え、深層学習が進歩するのに従い、医療システムでこうした技術を有効に活用できるようになり、広く普及していくだろう」と話す。
少なくとも近い将来は、そのようなAIツールが医療スタッフに取って代わったり、治療方針を決定する主要な手段になったりすることはなさそうだ。カジ氏はそうなったら「問題」であり、AIツールは「医療者の意思決定を支援する」ものとして利用されるだろうと話す。
FinTech分野
ロア氏によると、FinTech分野でもAI技術への期待が高まっているという。
一部の消費者には不評だが、電話回線を使わず費用も節約できるチャットbotを顧客サービスに導入する動きが進んでいる。消費者向けと企業向けの両分野のフィナンシャルプランニングツールも機械学習アルゴリズムによってスマート化とパーソナライズ機能が向上した。生体認証や予測分析、NLPのツールは金融犯罪防止に役立っている。
実証済みのユースケースも増え、AIを使ったツールを開発・販売するFinTechベンダーはここ数年でFinTech急速に増加している。このトレンドは2019年も続きそうだ。
規制と倫理
AIを使ったツールがこれからますます多くのアプリケーションや幅広い業種に普及していくと予想される中、何らかの規制が必要になると専門家は考えている。
「これが強力なコンセプトになっていくとしたら、その力が大企業や政府に集中した場合、どうなるのか」とロア氏は問いかける。
少なくともこれから何年かの間は、データの自動収集と個人情報利用をどう規制すべきか、また、AI開発者は軍事技術開発に協力すべきかといった議論が繰り広げられることになるだろう。
AIを使った契約分析サービスを提供するSeal Softwareの共同創業者でCTOのケビン・ギドニー氏は、2018年の米中貿易戦争に言及し、中国とは商品だけでなくデータやAI技術についても争うことになると語る。
中国にはデータのプライバシーに関する規制がほとんどなく、膨大な人口から収集したデータを利用することによって急速にAI技術が進歩している。ギドニー氏の予想では、米国が中国に対抗するには、企業が保有するデータを政府が利用できるようにするために、政府と民間の技術会社が協力してデータとAI開発に関する連邦規制を整備することが必要になるという。
ギドニー氏によると、英国を拠点とするSeal Softwareは消費者が個人情報をより厳密に管理できるようにするインテリジェントデータ管理契約の特許を申請したという。同氏は米国政府とデータ共有/プライバシー推進派の間で間もなく戦いが始まると予想する。
「どちらが勝つかはまだ分からない」と同氏は語った。
ダベンポート氏もAIに関する企業倫理が2019年の大きな課題になると話した。
バイアスの問題
機械学習にバイアスが組み込まれてしまう問題は、AIを使ったツールによって対策が進むだろう。機械学習アルゴリズムの進歩に伴い、意識的かどうかは別として、主観的に収集・処理されたデータに由来するバイアスが多くの機械学習モデルに含まれていることが分かってきた。
「使用するデータは現実を反映していない場合がある」とギドニー氏は述べ、そうしたバイアスが意図的にモデルに組み込まれたのか、データに原因があるのかは分からないことが多いと付け加えた。
これから数年は、こうしたバイアスを調整するオープンなモデルが開発されていき、どんなに膨大な量のデータを使っても誤りや偏りが発生する可能性について認識が高まっていくだろう。
また、無意識のバイアスがデータに入り込むのを防ぐため、データ収集になるべく人が関与しない方向に進むことも考えられる。
人材関連企業ではここ数年AIの活用が進んでおり、人材採用プロセスの公正を図るために面接にブラインドアルゴリズムを導入するなどの取り組みが行われている。こうした取り組みはますます広がっていくだろう。
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