「IoTはこれ以上複雑にはならない」
IoTの医療活用「コネクテッドケアテストベッド」は成功するのか?
医療業界で進むIoTの活用。その目的は医療支援だけでなく、収益につながる共通のプラットフォーム構築だ。
医療の現場では、複雑だが重要な2つの施策が試されている。IoT(モノのインターネット)を使って、病床にいる患者のリアルタイムモニタリングのために使用する試みと医者やスタッフ向けの臨床判断サポートを提供する試みだ。
アメリカでは医者の「医療ミス、誤診」が死亡原因の第三位となっており、IoTやクラウド、データの活用による誤診防止が期待されている。しかし、その道のりは長く険しい。
IoTの連携サービスを提供するRTIで医療市場開発ディレクターを務めるデイビッド・ニーウォルニー氏は「IoTの医療利用における最も大きな課題は、これらのシステムの複雑さにある」と言う。RTIはIoTの標準化を目指す団体「インダストリアルインターネットコンソーシアム」(IIC)の実証実験(コネクテッドケアテストベッド)に参加している。
「確かにIoTは複雑だが、複数ベンダーの製品同士がリアルタイムで通信し、安全を確保している。これ以上、複雑にはならないだろう」(ニーウォルニー氏)
IoT情報を「見やすい形」に集約、分析する
コネクテッドケアテストベッドの目標は、IoTデバイスから提供されるさまざまな情報を分かりやすい形にまとめることだ。そのためには、業界の規格を順守した上で最適な組み合わせのツールを使用して、患者のデータをリアルタイムに収集する。収集した情報をクラウドに送信して分析し、その結果を病室にある1台のモニターに表示し、セキュリティ確保をした上でこの情報をEHR(電子健康記録)にひも付ける必要がある。
「臨床上の意思決定支援をし、最終的にはこのワークフローを自動化する。市場の複雑さや混乱を減らすために、患者のプライバシーと法令順守に関する健康業界の全ての基準を満たすプラットフォームの構築を目指している」(ニーウォルニー氏)
ヘルスケアデバイス管理サービスを提供するDocBoxはIoTを利用した患者のモニタリングシステムを過去18カ月の間、インドの100の病床で立ち上げて稼働させてきたという。こう語るのはDocBoxのCEO兼共同創業者であるトレイシー・ラウシュ氏だ。
ラウシュ氏が知る限り、現在DocBoxはIoTのプラットフォームを運用している唯一の企業だという。DocBoxの取り組みはコネクテッドケアテストベッドとは別で「私たちは技術だけではなく、医療ベンダーと協力し、企業や技術開発会社が収益を上げられるようにしている」とラウシュ氏は説明する。
リアルタイムにアクセス可能なリアルタイムデータ
DocBoxのサービスは、病室内の医療装置に接続したさまざまなIoTデバイスを使用して患者のデータを収集し、リアルタイムな情報を全てのスタッフがアクセス可能な19型のモニターに表示する。
「重要なのは、リアルタイムという点だけでなくオープン規格を用いて異なる幾つかのアプリから、同一の情報にアクセスできるように関係性を構築したことにある」とラウシュ氏は言う。
同社はデータの連携がより強固となるように、病院にIoTデバイスやデータフォーマット規格の採用を促している。「病院がこれまでどうしてきたかよりも何を購入すればもっと良くなるかを技術的な観点から判断するようになることを勧めたい。だが、現在の病院はこのような考え方をしていない」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ゾーホージャパン株式会社] サイバー攻撃からネットワークを守る上で確実に押さえておきたいポイントとは? -
事例
[アルプス システム インテグレーション株式会社] 中小企業でも安心して活用できる「手ごろなSOCサービス」とは? -
製品資料
[株式会社シーイーシー] 脱VMwareに成功した企業は何をどう実践した? 事例に学ぶ戦略立案&実装のコツ -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] ランサムウェア攻撃を“二重の防御構造”で防ぐ、クラウド型基幹システムの実力 -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] 動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
NECの「BluStellar」に必要なデータ保護と活用のための技術とは
-
5
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
6
「Excel管理」では限界――製造現場の改善が進まない“隠れた原因”
-
7
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
8
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
9
「また同じ説明か」 消費者の半数が離脱するAIチャットbotの“記憶喪失”
-
10
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー