HDDの可能性を広げたHAMR【前編】
「HDDはもう要らない」なんて言えなくなる“HDDまさかの進化”とは?
HDD不要論がささやかれる中でも、HDDの進化が止まったわけではない。HDDベンダーSeagate Technologyが発表した新技術は“HDD劣勢”の見方を変える可能性がある。HDDはどこまで大容量になるのか。
HDDは1台当たり20TB超に達し、容量増大の進化は続いているが、今後の可能性はどうなのか。劇的な容量増大は「望み薄」とする見方があり、データ保管のコスト効率向上の点ではむしろ「SSD」に期待が集まる傾向にある。だがHDDベンダーSeagate Technologyが発表した新技術搭載のHDDは、そうした“HDD劣勢”の見方を変える可能性がある。HDDはどこまで容量が増えるのか。
「HDDは要らない」とはもう言えない? “HDDまさかの進化”とは
Seagateは2024年1月、同社のHDD「Exos」シリーズで容量30TBの製品の出荷を開始する計画であると発表した。同社はこの容量30TBのHDDに、熱アシスト磁気記録方式(HAMR)を使用。データを記録する円盤である「プラッタ」における記録密度を高め、プラッタ1枚当たり3TBの容量を実現した。このプラッタ10枚を搭載することで、HDD1台で30TBの容量が実現した。
Seagateによれば、同社は今後数年でプラッタ当たりの容量を4TBまたは5TBに増加させる。これにより、今回の発表の段階で30TBに達した同社のHDDの容量は、さらに大幅に増える可能性がある。
HAMRとは
HAMRは、ドライブのHDDの磁気ヘッド(データ読み書きする部品)に取り付けたレーザーを使用してプラッタ表面を一時的に加熱し、データ書き込みの信頼性を高める技術だ。このHAMRは、Seageteの技術群「Mozaic 3+」を構成する要素の一つとなっている。
その他、Mozaic 3+を構成する主要技術は以下の通り。
- 超格子プラチナ合金メディア
- Mozaic 3+で使われる超格子プラチナ合金メディアは、ナノ(10億分の1)メートルのサイズで粒子が安定するようになる。プラッタにおける記録密度を高めるには、磁性体の粒子を小さくする必要がある。
- プラズモニックライター
- プラッタ表面に非常に正確な加熱点を当てるナノフォトニックレーザー技術を使って書き込みを実施する。
- スピントロニックリーダー
- スピントロニックリーダーは小型で高感度な磁場読み取りセンサーを搭載しており、プラズモニックライターと共に1つのシステムとして統合されている。
- コントローラー
- 独自のSoC(統合型プロセッサ)が書き込みと読み取りの操作を管理する。
SeagateのCEOであるデイブ・モズリー氏は、同社がプラッタ当たり5TBを視野に入れていることに触れた上で、次のように述べる。「AI(人工知能)技術の利用に伴い、企業はより多くのデータを保存する必要がある。大量のデータの保存には、HDDの記録密度向上がこれまで以上に重要になっている」
後編は、HAMRのような技術の開発が進む中で、SSDに対するHDDの競争力が今後どうなるのかを考察する。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー