無線LAN規格「Wi-Fi 6E」は“外”へ【前編】
「Wi-Fi 6E」が屋外で劇的に使いやすくなった納得の理由
Wi-Fi 6の拡張版である「Wi-Fi 6E」は新たに6GHz帯を利用することで、より広帯域の無線LANを実現する。Wi-Fi 6Eは今後、屋外でも利用が広がりそうだ。
無線LAN規格の「IEEE 802.11ax」に基づいて、業界団体Wi-Fi Allianceが定めた無線LAN規格「Wi-Fi 6」。その拡張版である「Wi-Fi 6E」に準拠したネットワーク機器を導入する企業や施設が増加傾向にある。
Wi-Fi 6Eは今後、屋外での利用が特に加速しそうだ。既に、MLB(メジャーリーグ機構)のチームであるサンフランシスコジャイアンツ(San Francisco Giants)をはじめとして、複数のスタジアムでWi-Fi 6Eの活用が広がっている。その背景にはあるシステムの普及があった。
「Wi-Fi 6E」を進化させた“あるシステム”とは
併せて読みたいお薦め記事
Wi-Fi 6Eを導入する名門スポーツ企業
サンフランシスコジャイアンツやブリガムヤング大学(Brigham Young University)はネットワーク機器ベンダーのExtreme Networksが提供するWi-Fi 6E準拠の屋外向け無線LANアクセスポイント(AP)「AP5050」シリーズを導入している。Extreme Networksは、APが利用できる電気の送信出力を上げたことで、同社の顧客がより良い通信品質のネットワークを利用できるようになったと発表した。
Wi-Fi 6Eから無線LANは新たな周波数帯として6GHz帯を利用できるようになった。しかし、6GHz帯を既に利用しているシステムがあるため、それらのシステムとの電波干渉を避けるために、Wi-Fi 6Eに準拠した機器が屋外で利用できる電気の送信出力には制限が設けられていた。
こうした状況を変えたのが、既存のシステムが通信する時間と場所に合わせて無線LANの使用可否や使用チャネル(データ送受信用の周波数帯)を調整する「AFC」(自動周波数調整)システムの解禁だ。AFCにより、6GHz帯を利用する既存のシステムとの電波干渉を避けられるようになったため、屋外でも電気の送信出力を向上させ、通信品質を改善することが可能となった。
無線LAN用のAFCシステムは以前からWi-Fi Allianceによって開発されていたが、2024年2月に米連邦通信委員会(FCC)に承認されたことで、米国全土で利用できるようになった。Extreme NetworksはWi-Fi Allianceの子会社であるWi-Fi Alliance Servicesと連携することで、同社のAFCに準拠した製品が米国全土でAFCを利用可能になったとしている。
Extreme Networksによれば、AFCによってWi-Fi 6Eに準拠した無線LAN APの屋外における電力の送信出力が強くなったため、クライアントデバイスが屋外で電波を受信できるエリアが拡大した。さらに通信遅延が低減や接続も安定したという。
Wi-Fi Alliance ServicesのCEOケビン・ロビンソン氏は次のように語る。「AFCによって、Extreme Networksをはじめとするネットワークベンダーは、屋外でも6GHz帯において標準電力でWi-Fiを展開できるようになった。これは無線ネットワークの歴史的な転換点だ」。特に人が密集するスタジアムや競技場で効果が期待できるという。
次回はWi-Fi 6Eを屋外で利用できるようになったことで広がったユースケースを紹介する。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー