CAIOが企業成長の鍵に
AIで「人が減らない」不都合な真実 なぜ”雇用増”の企業が圧勝するのか
ある調査によると、インドではAIの業務利用が拡大する一方、人員削減が進んでいない実態であることが分かった。インドの特徴的な点は何か。
企業の中には、人工知能(AI)投資による生産性向上やイノベーションの増強を見越して、前倒しで人員削減を進めてきたところがある。従業員の中にも、「AIが人間の雇用を奪う」という懸念が広がりつつある。
ITコンサルティング企業Thoughtworksの調査結果は、その懸念とは逆行するインドの実態を示唆している。同社が2026年1月に公開した調査結果によると、インドでは人間とAIの協業によって新たな雇用が生まれていることが分かった。インドにおけるAI活用の動向を紹介する。
AIは使う。しかし人が減る訳ではない背景
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Thoughtworksの調査は2025年9~10月、米国、英国、ドイツ、インド、ブラジル、シンガポール、オーストラリアの企業に勤務するIT部門の意思決定者、最高経営幹部(CxO)3500人を対象に実施された。
調査結果によると、AI主導の雇用創出でインドは他国をリードしており、同国では57.1%の企業が、人間とAIの協業によって創出された職種が純増したことが分かった。インドに続いて、ブラジル(50%)、米国(36%)、オーストラリア(33%)の企業でも人間とAIの協働によって創出された職務の純増が生じていることが分かった。CxO全体でも、22%の企業がAIを基にした新たなキャリアパスが創出されていると答えた。
取締役会レベルでも、インドでは変化が起きている。最高AI責任者(CAIO)の役職普及率は他国と比べてインドが最も高かった。CAIOを設置していると答えたCxOの72%は、CAIOが独立した予算の権限と投資対効果(ROI)に対する説明責任を持っていると回答した。
「CAIOという役割は、AIのトレンドに乗って発生した実験的な役職ではなくなりつつある」。ThoughtworksのCAIO、シェイアン・モハンティ氏はこう述べる。「CAIOが、戦略の中核に位置付けられている。AI活用をリードしている企業は、AI活用を“片手間でやる案件”ではなく、“事業の土台”として組み込んでいる」
規制環境も、インドにおけるAI導入や活用を加速化させている可能性がある。調査結果によると、インドではハードルが大幅に低く、「AIの能力を生かす上で規制が主な制約である」と答えたインドのCxOは9.6%だった。
調査からは、AI戦略を「コスト削減」から「企業の成長やイノベーションの推進へ」転換させている企業の動きも明らかになった。特に大企業では、その割合は92%にまで上昇している。調査結果によると、CxOの27%は、2026年にAIを通じて自社の収益が最大10%増加すると予測している。一方インドは、CxOの49.2%が、今後5年以内にAIを通じて自社の収益が15%以上増加すると見込んでいる。
調査では、AIエージェントの導入を最優先事項としているかについても尋ねた。その結果、「最優先事項と捉える」と答えたCxOは全体の35%にとどまるが、インドは48.6%と他国をリードしていることが分かった。シンガポールも、英国(40%)や米国(28%)を上回る40.8%という結果だった。
「これは、企業の成長計画における構造的な変化を示している」。こう述べるのは、Thoughtworksの最高技術責任者(CTO)レイチェル・レイコック氏だ。「CxOにとって、AIを使って業務をどれだけ効率化できるかはもはや課題ではない。AIを事業運営の中核に統合し、どれだけ業務に拡張できるかに注目している」
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