「実務で使えるAI」の選び方
「勘とExcel」の限界が招く在庫ロス ジェイ・ファームが選んだAI活用法とは
AI導入に一度失敗した企業が、なぜ再挑戦で成果を出せたのか。属人化した発注業務とExcelの限界を突破した、食品企画のジェイ・ファームが選んだAI活用法とは何か。
菓子や食品の企画開発を手掛けるジェイ・ファームは、需要予測に基づく発注計画の高度化を目的に、対話型データ分析AIエージェント「Srush AI」を採用した。2026年1月28日、製品を提供するSrushが発表した。大塚商会と連携して導入したもので、自社企画製品の店舗別売上予測を内製化し、発注数量の最適化につなげる。データに基づく意思決定体制を整備することで、在庫ロスの削減と機会損失の抑制を目指す。
ジェイ・ファームが選んだAI活用法
ジェイ・ファームは、菓子や食品を中心に商品開発から調達、フードサービス事業まで幅広く展開している。スリムな組織体制ながら、多様な商品の展開や季節変動に応じた供給体制を維持してきた。しかし、近年は輸入品の取り扱い拡大や取扱点数の増加に伴い在庫負荷が高まっており、欠品回避と在庫最適化の両立が喫緊の課題となっていた。
同社はこれまで、需要予測の実現に向けてAI機能付きのBIツールの導入を試みたことがあったが、プロジェクトが中断した経緯がある。その後も課題解決に向けた模索を続ける中で、大塚商会からSrush AIの提案を受けた。データ統合から意思決定支援までを一貫して提供するプラットフォームである点に加え、トライアルを通じて、干し芋や甘栗といった自社企画製品の店舗別売上数量予測を内製化し、実際の発注計画に直結できる可能性を確認できたことが採用の決め手になった。
従来、同社では売上や在庫データの分析に取り組んでいたものの、担当者の経験や勘に依存する場面が多く、Excelを用いた分析も作業負荷や精度の面で限界に達していた。また、一般的な生成AIの活用も検討したが、データの読み取り精度に課題があり、実務への適用は困難だった。
Srush AIの導入で、売上、在庫、発注の各データを的確に解析し、発注期日の予測や最適な発注数量を定量的な根拠に基づいて算出できる環境を整える。営業、調達、発注の各担当者が同一の指標を用いて意思決定できる体制を構築し、業務の属人化を解消する狙いだ。
ジェイ・ファーム商品ソリューション部マネージャーの石田洸丞氏は、Srushの導入により発注数量の最適化を定量的な根拠をもって行える環境が整うと期待していると述べる。さらに今後は、同社が運営する紅茶専門店を含むフードサービス事業部にも活用を広げ、データに基づく分析と最適化を通じて事業全体の収益性向上と業務効率化を推進していきたいとしている。
ジェイ・ファームは今後、データ活用の運用定着を進めるとともに、全社的な横展開を見据えた取り組みを加速させる。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「ジェイ・ファーム、需要予測AIで発注計画を高度化 在庫最適化と欠品回避を両立」(2026年1月29日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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