1人1ライセンスの常識が崩壊する日
M365新ライセンス「E7」が迫る課金モデルの転換 定額制から「Azure流」の従量制へ
Microsoftが5月1日に提供を開始した「M365 E7」は、従来のシート課金にAzureのような「使用量ベース」を組み合わせたモデルだ。AI投資の回収を狙うMSの戦略は、情シスの予算管理にどのような変革を強いるのか。定額制の終息と「成果」への課金が始まる、ライセンス革命の全貌に迫る。
Microsoftの直近の四半期決算発表で、ライセンスモデル「Microsoft 365 E7」(以下、E7)が大きな注目を集めた。
同社の売上高は前年同期比18%増の829億ドルに達している。Microsoft 365の商用クラウド売上高は19%増加した。生産性およびビジネスプロセス部門の売上高は350億ドルで、前年同期比17%の伸びを記録している。
今回の決算で注目すべき点はクラウド収益の成長だが、一方で同社は従来のユーザー数に基づくライセンスを土台に、超過利用分に従量課金を適用する「価値ベース」のソフトウェアライセンスモデルへの移行を試みている。
Microsoftの幹部らは、この従量課金制について「ソフトウェアの利用拡大が、顧客にとってさらなるビジネス価値を生み出していることを示す手段」と位置付けている。
AI活用を加速させる「成果連動型」ライセンスの実態
E7ライセンスは5月1日に一般提供が開始された。このライセンスモデルは、同社が人工知能(AI)や製品ポートフォリオ全体で進める「エージェント型AI」への投資を支えるために導入された。
E7プランでは、基本利用権をシート数(ユーザー数)ベースの価格に含めている。同社によれば、これはシートやエージェントにひも付いた「コンサンプションパック(消費パック)」を購入する便利な手段になるという。ユーザーライセンスでカバーされる基本利用分を超えると、トークンの使用量や消費量に応じた純粋な従量課金が適用される仕組みだ。
今後3年から5年をかけて、Microsoftの従量課金モデルと従来のシートベースモデルの比率は変化していく。同社は、顧客が予測可能性と柔軟性のバランスを取るために、E7のようなハイブリッドモデルの採用を増やすと予測している。IT予算の在り方も、ビジネスの成果やトークンの使用から得られる価値によって変化していくとの見通しを示した。
ライセンスモデルの転換について、最高財務責任者(CFO)のエイミー・フード氏は次のように語った。「これまでシート単位のビジネスと考えてきたモデルが、今後は仕事の完遂や生産性向上を考える際、シートやワーカーに『エージェント』を加えたものへと変わる」
フード氏はこの変化を「ライセンスビジネスと従量課金ビジネスの組み合わせ」と表現した。「ユーザー単位のライセンスロジックは維持しつつ、Azureで見られるようなメーター(従量制)も導入することになる」と同氏は説明する。
これはIT部門にとって、E7ライセンスを調達するだけでなく、その上で発生する利用コストも管理しなければならないことを意味している。
サティア・ナデラCEOは、このモデルをユーザー単位でライセンス供与される全てのソフトウェアに展開する方針だ。「生産性、コーディング、セキュリティなど、当社のユーザー単位のビジネスは全て、ユーザー単位かつ従量課金のビジネスになる」とナデラ氏は述べた。
同社が経験している利用負荷の激しさを踏まえると、ライセンスモデル変更についてのナデラ氏の回答は、インフラ投資の資金を何らかの形で確保する必要があることを示唆している。ナデラ氏は「これらの資金はどこから来るのか」と問いかけた。
同氏は、AIエージェントの導入によってコスト削減や増益を実現している企業顧客が、さらなる利用をけん引すると主張した。「かつてのような単純なシートカバー型の動きではなくなるだろう。重要なのは、熱心なユーザーに集中的に利用してもらうことであり、そこに注力している」とナデラ氏は締めくくった。
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