AI予算をどう立てるか【前編】

経営陣の「AI導入しろ」にどう返す? 予算を食いつぶす“隠れコスト”の正体

巨大ITベンダーが、AIインフラに巨額の投資を実施している。一方で、企業がAIツールを導入する際に見落としがちなのが運用の手間や電力などの膨大なコストだ。AIに関する自社のIT予算をどう計画すべきなのか。

 十分な予算も具体的なビジョンもないまま、経営層から「うちもAI(人工知能)を活用しろ」という指示が降りてきて、頭を抱えるのはCIO(最高情報責任者)やIT担当者だ。世間ではAIツールの華々しい成功事例がもてはやされているが、導入・運用の裏側には、従来のシステムとは全く異なる「コストの魔物」が潜んでいる。

 Googleの親会社Alphabetは2026年2月、AIインフラの資金調達のために200億ドルの米ドル建て社債を発行した。これと並行して英ポンド建て社債も発行しており、その中にはAlphabetにとってこれまでで最長の返済期間となる10億ポンドの100年債(2126年満期)も含まれている。

 Alphabetの動きは、ハイパースケーラー(大規模クラウドベンダー)の間に広がりつつある資金調達トレンドの一例に過ぎない。これは、巨額の初期費用を長期間に分散させ、手元の資金繰りに余裕をもたせるために、返済期間の長い借り入れを活用するというものだ。このような資金調達や予算編成の手法は、AIインフラが単年度の予算に収まるソフトウェアの一項目ではなく、工場建設のように気長に回収を待つ資金を必要とする、大規模な設備であることを裏付けている。

 ハイパースケーラーによるこれほどの規模の支出は、自社のIT予算の計画において何を意味するのか。大半の企業はAlphabetのように資金を借り入れたり、Meta Platformsのように巨額の資金を投じたりはできない。それでも取締役会は、AI主導の変革をますます期待するようになっている。

IT大手のAI支出の規模

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