openSUSEとKubernetesで「脱VMware」

“費用10倍”のESXiから脱却 追加予算なしで1400店舗のVMを刷新した方法

店舗など現場拠点のシステム運用において、IT製品のライセンス費用高騰は深刻な問題だ。追加予算なしで、1400店舗のインフラをESXiからKubernetesを中心としたオープンソースシステムに刷新した事例を紹介する。

 小売店舗など分散したエッジ(データ発生源の近く)におけるITインフラの運用は、企業にとって悩みの種だ。カナダ全土で食料品店や薬局などを展開し、年間10億回以上の顧客取引を処理する小売大手Loblaw Companies(以下、Loblaw)も例外ではなかった。

 Loblawの約1400店舗では、店舗ごとに独立して運用されていたハイパーバイザー「ESXi」において、薬局管理やPOS(販売時点情報管理)などの重要な仮想マシン(VM)が稼働していた。システム自体は安定していたが、VMwareの仮想化製品のライセンス費用が約10倍に高騰したことで運用費用の維持が困難になった。VM中心の設計はコンテナやマイクロサービスの導入を阻害し、システムモダナイゼーションの大きな壁にもなっていた。

 一方でLoblawには「ハードウェア更新予算なし」「新たなプロプライエタリ製品の導入不可」「店舗業務のダウンタイム最小化」という厳しい制約があった。店舗には専任のITエンジニアが不在であり、ネットワークやメモリなどのコンピューティングリソースにも限界がある。

 この課題に対し、Loblawはオープンソースの「Linux」ディストリビューション「openSUSE」と、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」を中心としたシステムへの移行を決断した。KubernetesでVMを動かせるようにする拡張機能「KubeVirt」を活用して店舗システムを大規模に刷新し、仮想化製品やOS、監視ツールに関わるライセンス費用を完全に撤廃することに成功した。

 既存のハードウェアを使い回しながら、いかにしてダウンタイムやトラブルを防ぎ、1400店舗で稼働するシステムの大規模移行を実現したのか。その移行戦略と運用ノウハウを解き明かす。

高額ライセンスから逃れるための移行術

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