“期待外れ”のAI障害対処

精度はわずか14%? インシデント調査でAIが“迷子”になる理由と改善策

AIツールによる障害への対処に期待が高まる一方、検証では原因特定の精度は低いという結果が出た。この課題に対し、IBM Researchが開発したオープンソース評価ツールと、特定精度を95%に改善した手法を解説する。

 インシデント処理時の原因調査として、ログやメトリクス(指標)を大規模言語モデル(LLM)に入力して分析させる手法が模索されている。市場には「根本原因分析を90%高速化する」とうたうAIツールも存在する。

 しかし、その実態は期待を裏切るものだ。Meta Platformsが2024年に公開した実証データによれば、過去のインシデントデータを用いて独自にチューニングしたLLMであっても、初期段階での原因特定の成功率は42%にとどまる。IBMの研究部門IBM Researchが構築した検証用ツール「ITBench」でも、「Gemini 3 Pro」のような高性能モデルでさえ正しい根本原因を突き止められないことが判明した。

 LLMが失敗する最大の理由は、提供されるコンテキストに潜むノイズにある。例えば、ネットワーク設定の変更と直後の取り消しといった、本来の障害とは無関係な情報が存在すると、LLMはそれに固執してしまい、真の原因である設定ミスを見逃してしまうのだ。IBM Researchが2025年に実施した検証によれば、「ReAct」などLLMに調査プロセスを自律的に実行させる手法を用いた場合、原因特定の成功率は約14%という結果に終わっている。

 この実戦では使い物にならない精度を、IBM Researchは95%という実用レベルに引き上げた。その突破口は、LLMに全てを丸投げするのをやめ、システムの「トポロジー」(構成情報)を使ってAIを正しく導くというアプローチにあった。

精度を14%から95%に改善した「制約」

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