セキュリティ負債を生む古い運用

Netflixが実践する“止めない”運用術 「全面デプロイ凍結」はむしろ危険?

大規模イベント時にシステムの安全を守るため、変更作業を止める「デプロイ全面凍結」は一般的な手法だ。しかし、Netflixはこの運用を廃止した。安全なはずの凍結が生み出す、深刻な「負債」とは。

 大規模なサービスローンチやグローバルなライブイベントを控えた際、サービス事業者はシステムの安定性を確保するために「全面的なデプロイ凍結」を実施する場合がある。システムに変更を加えなければ、新たな障害が発生するリスクを極小化できるからだ。

 しかし、動画配信サービスを手掛けるNetflixは、この従来型のアプローチから脱却を図った。デプロイの全面凍結は表面的な安全をもたらす一方で、4つの深刻な弊害を生み出していたという。

 1つ目は、イノベーションの減速だ。エンジニアは機能開発やバグ修正を続けるが、本番環境へのリリースができないため変更が滞留してしまう。2つ目は、凍結解除後のリスク増大だ。凍結期間が終わると同時に、たまっていた大量の変更が一斉にデプロイされるため、障害が発生した際の原因特定が困難になる。3つ目は、運用上の負担だ。SRE(サイト信頼性エンジニア)やリリースエンジニアが、開発チームから「どうしてもリリースさせてほしい」と頼まれる「門番」のような役割を強いられ、大きな負担となる。4つ目は、セキュリティパッチの適用も保留されてしまう「セキュリティ負債」の蓄積だ。

 Netflixはいかにしてこの問題を乗り越え、重要なイベント期間中であっても安全に変更をリリースできるシステムを構築したのか。同社が実践する「リスクベースのリリース手法」の詳細を解説する。

デプロイ凍結が招く深刻な“弊害”

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