運用のポイントを解説

RAGの遅さとコスト高を防ぐ AIエージェント時代の「プロンプトキャッシング」入門

AIエージェントの導入が進む中、応答速度の低下やコストの増大が課題となっている企業がある。こうした問題を改善する技術が「プロンプトキャッシング」だ。本稿では、その仕組みや運用のポイントを紹介する。

 生成AIやAIエージェントの導入が進む中、多くの企業では「応答速度が遅い」「API利用料金が想定以上に膨らむ」といった課題が顕在化している。特に、社内文書やマニュアル、業務ルールを大量に読み込ませるRAG(Retrieval-Augmented Generation)やAIエージェントでは、毎回同じ情報をLLM(大規模言語モデル)が繰り返し処理しているケースが少なくない。

 こうした無駄な計算を削減し、応答速度とコスト効率を改善する技術として注目されているのが「プロンプトキャッシング」(prompt caching)だ。

 IBMのマーティン・キーン氏(マネジャー兼IBMテクニカルトレーニングコンテンツクリエイター)によると、プロンプトキャッシングは「同じ質問への回答を保存して再利用する仕組み」のようにも思えるが、その仕組みは従来のキャッシュとは大きく異なる。本稿では、プロンプトキャッシングの仕組みや効果、活用するためのプロンプト設計について整理する。

1.プロンプトキャッシングは「出力キャッシュ」と何が違うのか

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