1カ月で構築と検証を完了
「クラウドAI」を避けたSkyの決断 なぜ“オンプレミス回帰”を選んだのか?
AI活用には機密データの流出リスクがあるが、クラウド型AIサービスの利用をためらっていれば開発が遅延する。このジレンマに対し、Skyは安全なオンプレミスAIインフラをわずか1カ月で構築した。その手法とは。
企業におけるAIツールの導入が進む一方で、IT部門は「機密データの取り扱い」というジレンマに直面している。クラウド型AIサービスは手軽に導入できる半面、顧客データや自社のソースコードが外部に流出するリスク、あるいは意図せずAIモデルの学習データとして利用されてしまうリスクが排除し切れないからだ。かといってセキュリティを確保できないという理由でAIツールの利用を制限すれば、現場の開発スピードが停滞しかねない。
こうした問題が表面化する中、Skyは手軽なクラウドサービスではなく、あえてオンプレミスでのAIインフラ構築を選択した。同社は多様なシステム開発を手掛けており、顧客の業務データやシステム情報といった機密情報の厳格な管理が課題となっていた。データを外部に流出させるリスクを排除しつつ、開発者が自由にAIツールを活用できるセキュアなオンプレミスインフラの迅速な構築が求められていたのだ。
しかし、一般的にオンプレミスでのAIインフラ構築には、「巨額の初期投資」と「ハードウェアおよびソフトウェアの複雑な連携に伴う長期化」という壁が立ちはだかる。ところがSkyは、オンプレミスAIインフラを1カ月という短期間で構築し、検証を完了させたという。どのような手法を用いて、初期投資の抑制と拡張性の両立を実現したのか。
クラウド型AIサービスの死角と「オンプレ構築」の高い壁
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オンプレミスシステムでAIツールを動かす
Skyは、社内ワークフローの効率化とソフトウェア開発の加速を目的に、オンプレミス型AIインフラ「HPE Private Cloud AI」を採用した。2026年6月10日、Skyが発表した。機密データを外部に出すことなく安全にAIツールを活用できるシステムを確保し、開発者が自由にAIツールを利用できる体制を整えた。今後はAIエージェントによる自律的なタスク実行への発展や、受託開発およびSI(システムインテグレーション)事業への展開を進め、組織全体へのAI活用の浸透を目指す。
Skyは、業務系システム開発をはじめ、自動車やデジタル複合機などの製品に組み込まれるソフトウェア開発や検証業務に携わっている。自社パッケージ商品の企画・開発の他、顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進やITインフラ整備をサポートするSI事業を展開し、社内でもAIツールの活用や技術向上に向けた取り組みを積極的に進めている。
Skyでは、開発業務や社内ワークフローにおけるAI活用を推進する一方で、顧客の業務データやシステム情報といった機密性の高い情報の厳格な管理が課題となっていた。そのため、データを外部へ流出させるリスクを排除しつつ、開発者が自由にAIツールを活用できるセキュアなオンプレミスインフラの迅速な構築が求められていた。
そこでSkyは、HPE(Hewlett Packard Enterprise)とNVIDIAが共同開発した、企業のAIモデルやツールの実装・活用に特化したプライベートクラウドインフラであるHPE Private Cloud AIの採用を決めた。AIモデルやツールに必要なハードウェアとソフトウェアが集約されている点を評価し、システム構築にかかる負荷を大幅に削減できると判断した。
導入に当たっては、1カ月という短期間でオンプレミスAIインフラの構築と検証を完了させた。月額従量課金モデルである「GreenLake Flex Solutions」を適用したことで、初期投資の抑制と柔軟な拡張性の両立を実現している。
新インフラの導入によって、Skyが開発するほぼ全てのシステムにAI機能を組み込む体制が整備された。データを安全に保護しながら開発業務を効率化するインフラが整ったことで、ソフトウェア開発のさらなる加速が見込めるとしている。
今後は、AIエージェントによる自律的なタスク実行といった高度な活用への発展を目指す。同時に、自社内での運用で得られたノウハウを生かし、受託開発やSI事業への展開を加速させることで、組織全体におけるAI活用をさらに浸透させる。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「Sky、オンプレミス型AI基盤で開発加速 機密データを保護し構築負荷を軽減
」(2026年6月11日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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