過去の「安全策」が負の遺産に

Expediaがインフラ設定の“闇”を解明した方法 年間2000万ドル削減の裏側

インフラの規模拡大に伴い、クラウドサービスの費用削減とシステムの信頼性維持は相反する課題になりがちだ。財務チーム主導の強引な費用削減は障害のリスクを招くExpedia Groupはこのジレンマをどう打破したのか。

 インフラが大規模化する中で、開発者が円滑な開発・運用を進められるように共通インフラの構築や自動化、共通ツールの提供などを担う「プラットフォームエンジニア」は重要なポジションだ。しかしほとんどの場合、システムの安定稼働や信頼性を優先するあまり、過剰な安全マージン(バッファー)として余分なコンピューティングリソースを確保しがちだ。一方で財務データのみを基に費用削減を進める財務(FinOps)チームは、システムの実際の挙動を把握しないままコンピューティングリソースの縮小を求め、結果として遅延悪化などのシステム障害を引き起こすリスクがあった。

 旅行予約サイトを運営するExpedia Groupは、自社開発のマルチテナント型コンテナ管理システム「Runtime Compute Platform」(RCP)において、この課題に取り組んだ。システムの挙動を最も深く理解しているプラットフォームエンジニアが主導し、過去の不要な設定を見直した。結果として、システムの安定性を維持したまま平均稼働ノード数を600から300に半減させ、年間で2000万ドルに上るインフラ費用の削減を実現した。

 Expedia Groupは具体的にどのような指標を用い、複雑なシステムをどのように作り変えたのか。同社のプラットフォームエンジニアが、無駄を削ぎ落とすために実践した独自の工夫と自動化の仕組みに迫る。

正常な稼働状態を示す「ベースライン」の確立

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