大学ITの時限爆弾化した“技術的負債”

「作った人しか直せない」を終わらせる 同志社女子大学が挑んだ独自認証の脱却

脆弱性修正のたびに発生する「システム計画停止」と、特定担当者に依存した「独自実装」。これらが引き起こす属人化はIT部門を追い詰める。同志社女子大学がこの課題から脱却するために採用したアーキテクチャとは。

 「脆弱(ぜいじゃく)性が見つかるたびに、夜間や休日にシステムを停止してパッチを当てる」。これは組織のIT部門にとって、終わりの見えない苦行だ。それに加えて、システムの根幹となる認証システムが特定の技術者にしか分からない独自実装で構築されていたら、問題はいっそう複雑になる。その担当者が退職した瞬間、システムはブラックボックス化し、組織のインフラは維持不能に陥る。

 同志社女子大学も、同様の技術的負債を抱えていた。同大学は学内システムとの連携やID管理を自前で実施するため、オンプレミスインフラで認証システム(SAML IdP)を運用していた。このシステムを運用する上で、脆弱性修正に伴うバージョンアップのたびにシステム停止作業が発生し、運用部門の重い負担になっていた。他サービスと連携するための「学認接続」も作った本人しか直せないプログラムで動いてしており、長期的な維持管理にも大きな課題を抱えていた。

 同志社女子大学が求めたのは、システムのクラウド化による安定運用だけではない。設定や変更作業における属人性を排除し、専門のエンジニアではなくても運用できる持続可能な体制を確立することだった。そのためには既存の単一製品では要件を満たせず、複数ベンダーのサービスを組み合わせる未知のシステム連携が必要となった。そこには、どのような壁と画期的な解決策があったのか。

「独自実装」を捨て、運用を標準化する“世界初”の構成

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