属人化からの脱却とAI活用を推進
歯科機器大手が「SAP ERP」から「SAP Cloud ERP Private」へ 移行のポイントは
松風は自社の基幹システムを「SAP ERP」から「SAP Cloud ERP Private」に移行した。同製品を選んだ経緯や移行のポイントを紹介する。
歯科材料および歯科用機器の製造・販売を手掛ける松風は、基幹システムとして「SAP Cloud ERP Private」を採用した。2026年7月30日、SAPが発表した。松風がS/4 HANAを選んだ経緯や移行のポイントは?
松風がSAP Cloud ERP Privateを選んだ理由は?
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松風は、歯科業界におけるグローバルトップ企業を目標に掲げ、デジタル歯科領域や予防・口腔ケア分野の強化、海外事業の拡大を進めている。一方、同社では需要予測から調達、生産、販売までの需給全体を統合して管理する運用が十分に確立されていなかった。
地域別および製品別の収益性を横断的に可視化できていないことも課題だった。海外事業や製品領域が拡大する中、どの地域のどの製品が利益に貢献しているのかを把握し、経営判断に生かせる仕組みが求められていた。
この他、人手不足への対応や業務の標準化、特定の担当者に業務知識や作業が集中する属人化の解消も必要になっていた。
こうした課題の解消や成長戦略の推進に当たって、松風は従来利用してきた基幹システム「SAP ERP」を単に更新するのではなく、グローバル展開や事業拡張に対応できる業務、データ、管理基盤へと再設計する必要があった。
標準機能を活用して業務を再設計
松風がSAP Cloud ERP Privateを選定した理由の1つは、標準機能をベースとして、業務プロセスをエンド・ツー・エンドで見直せる点だ。
需要、調達、生産、在庫、販売などの情報を連携させることで、需給一体運用を実現し、サプライチェーン全体の最適化を図る。
製品と地域の2つの軸を組み合わせ、収益性を分析できるデータ基盤を構築できる点も評価した。経営層や事業部門が共通のデータを参照し、製品戦略や海外事業への投資判断を迅速化する狙いがある。
AIや分析機能を含む将来的な拡張性に加え、基幹システムの標準機能を維持しながら独自開発を分離する「クリーンコア」の方針に基づき、柔軟にシステムを運用できる点も採用の決め手になった。
AIと高度分析による継続的な改善へ
松風は今回の基幹システム刷新を通じて、需給一体運用によるサプライチェーンの最適化、製品別・地域別の収益性の可視化による意思決定の高度化を目指す。
業務プロセスの標準化と自動化も進め、担当者の作業負荷を軽減するとともに、業務の属人化を解消して生産性を高める。
さらに、データ活用基盤を強化し、蓄積した業務データをAIや高度な分析機能に活用する。基幹システムの更新を一度限りの取り組みとせず、データに基づいて業務を継続的に改善できる仕組みの構築を進める予定だ。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「松風、クラウドERPで需給管理や分析基盤を刷新 グローバル事業を強化」(2026年7月31日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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