既存ツールを使い倒す現実的な選択
“脱Excel”を待ち受ける乱立問題 カカクコムが新ツール導入を見送った理由
現場部門の「新しいツールを導入したい」という要求は、情報システム部門の負担になり得る。しかしカカクコムの経理部門は、“個別導入のつけ”を危惧し、既存システムの徹底活用を選んだ。その背景とは。
全社的なDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や業務効率化の機運が高まる中、各事業部門から「新しいクラウドサービスを導入したい」「最新のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを使いたい」といった要望が情報システム部門に寄せられることは日常茶飯事だ。特に、「Microsoft Excel」を中心とした手作業が大半を占める部門での「脱Excel」は急務となっている。しかし、現場の要求をうのみにして個別ツールを場当たり的に導入すれば、既存の基幹システムとのデータ連携やマスター管理の破綻といった問題が待ち受けている。
購買支援サイト「価格.com」やレストラン検索・予約サービス「食べログ」などを展開するカカクコムは、事業体制の変化に伴い、財務経理部門において自ら業務効率化を進められる体制と、現場の業務環境の整備が急務となっていた。日々のチェック作業をMicrosoft Excelに依存しており、業務の属人化と作業負荷が課題となっていたからだ。
ここで候補になり得るのは、最新のデータ分析ツールなどの新規ツールだ。しかしカカクコムの財務経理部は、個別ツールを新規導入した場合に生じる「システム間の連携作業の大きな負担」というリスクを直視し、既存の財務会計システムと連動するツールを最大限に活用する選択をした。
情報システム部門と現場を苦しめる連携問題を回避しつつ、カカクコムはいかにしてMicrosoft Excel業務のダッシュボード化と属人化の解消を果たしたのか。
情シス泣かせの「ツール乱立」を現場が自ら回避した理由
カカクコムは、キヤノンITソリューションズの経営分析ソリューション「SuperStream-NX グループ経営管理」を活用し、財務経理業務の効率化に向けた取り組みを開始した。2026年7月27日、キヤノンITソリューションズが発表した。これまでMicrosoft Excel中心で実施してきた定型業務をダッシュボードに置き換えることで、作業負荷の軽減や業務の標準化、属人化の解消を目指す。
カカクコムは、価格.comや食べログ、求人情報の一括検索サービス「求人ボックス」など、多様なインターネットサービスを展開している。全社的にAI技術などのテクノロジーを活用した業務効率化を進める中、グループ全体の財務経理業務を担う財務経理部では、日々の会計処理に必要なチェック業務などをMicrosoft Excel中心で実施してきたため、作業負荷や属人化が課題となっていた。組織変更によるカンパニー制の導入など事業体制の変化に伴い、自ら業務効率化を進められる体制と現場の業務環境の整備が急務となっていた。
こうした背景からカカクコムは、既に財務会計システムとして導入していた「SuperStream-NX」の経営分析機能「SuperStream-NX グループ経営管理」に着目した。別の個別ツールを新規導入するとシステム間の連携作業に大きな負担が生じることから、既存の財務会計機能と連動するSuperStream-NX グループ経営管理を部内で活用することを決定。理解を深めるために実データや作例を用いたハンズオン研修を実施し、現場での定着を促した。
現在は売掛金の照合作業をはじめ、売掛金残高の算出やワークフロー上の購買申請履歴と請求書の付け合わせといった定型業務において、ダッシュボードへの置き換えを進めている。目視や手作業による確認からダッシュボードで必要な情報を一元的に確認・処理する運用に切り替えたことで、作業効率の向上だけではなく確認漏れの防止といった業務品質の向上を実現。ノウハウの共有によって担当者ごとの作業のばらつきを抑え、属人化の解消につなげている。
今後は毎月の作成に時間を要している各種管理表などのダッシュボード化を進め、部内での適用範囲を順次拡大する計画だ。全社的な効率化目標の達成に向けて財務経理部における業務改革をさらに加速させる。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「カカクコム、財務経理業務をダッシュボード化 定型作業の負荷軽減と標準化推進」(2026年7月28日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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