既存ツールを捨てないインフラ刷新

サイロ化が招く大規模障害 巨大企業のインフラを「わずか4人」で救った方法

システム規模の拡大に伴い、監視ツールにかかる費用や運用負荷の肥大化が顕在化する。金融大手のMSCIはわずか4人で、乱立した監視ツールを即座に捨てることなく、高額な維持費とベンダーロックインから抜け出した。

 複数ベンダーのクラウドサービスやオンプレミスシステムが混在し、数千人規模の従業員を抱える企業にとって、監視の複雑化は避けて通れない課題だ。金融サービス大手のMSCIも例外ではなく、過去の企業買収などを経てサイロ(分断)化された旧来の監視ツール群が乱立し、運用が不透明な状態に陥っていた。

 MSCIはある日、顧客に提供している自社サービスで大規模な障害に見舞われた。稼働ログが複数のツールに分散しており、事象の相関関係を特定するのに時間を要した。結果として、顧客の業務時間帯に影響を及ぼし、収益や企業ブランドを脅かす事態となった。

 このインシデントを機に、MSCIは監視体制の根本的な見直しに着手する。高額なライセンス費用やデータ量に応じた従量課金、特定の製品に依存した「ベンダーロックイン」状態からの脱却を目指し、標準技術の採用を決断した。これによって、障害の平均検出時間を30%短縮することに成功している。

 巨大なインフラを抱えながら、わずか4人のチームでいかにしてこの大規模な移行を成し遂げたのか。その裏には、既存のツールを即座に捨てるのではなく、データの中継役となる「抽象化レイヤー」を挟み込むという戦略的な手法があった。

4人でサイロ化した大規模インフラを刷新

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