深刻化するサーバの容量不足
Azureは限界ギリギリ 絶好調Microsoftを襲う「GPU不足」の深刻度
Microsoftの2026年4~6月期決算は「Microsoft Azure」の記録的成長を示したが、その裏ではGPUの納入遅延とインフラの逼迫が続いている。需要に供給が追い付かない状況下で、同社はどのように利益を出しているのか。
Microsoftは、2026年度第4四半期(4~6月)の決算において、売上高が前年同期(2025年4~6月)比18%増を記録したと発表した。全体の売上高は900億700万ドルに達し、「Microsoft Office」製品などを扱うProductivity and Business Processes部門がそのうち378億ドルを占めている。「Microsoft Azure」を含むIntelligent Cloud部門の売上高は32%増の393億ドルだった。
MicrosoftのCEOを務めるサティア・ナデラ氏は、企業によるAIサービス導入が拡大していることを強調した。2026年度において、Microsoft Azureの売上高は初めて1000億ドルの大台に乗り、「Microsoft 365 Copilot」の有償ライセンス数も3000万件を超えている。
しかし、好調の裏で深刻な問題が進行している。顧客企業からの爆発的なAI需要に対し、サーバの中核を担うGPUなどのハードウェア供給が全く追い付いていないのだ。「インフラの逼迫(ひっぱく)」という厳しい状況下で、Microsoftはいかにしてクラウドの稼働を維持し、巨額の利益を絞り出しているのか。その裏には、データセンター運用における“秘策”がある。
Microsoftが取り組むGPU不足問題
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2026年度第4四半期の設備投資額(Capex)は410億ドルであり、これには部品価格の高騰が影を落としている。最高財務責任者(CFO)のエイミー・フッド氏は、顧客企業がAIサービスを自社システムに組み込むようになったことに触れ、設備投資の約3分の2がCPUやGPUといった製品寿命の短いIT機器に投じられたと報告した。需要がハードウェアの供給を上回る状況は数四半期前から続いており、2026年8月現在も解消されていないことも認めた。
こうした状況下でMicrosoftが注力するのが、データセンターインフラの「効率化」だ。フッド氏によれば、これは自社のデータセンターに設置した全てのサーバ(CPUとGPUの双方)から、最大限の処理能力を引き出すことを指す。供給制約が続く現状では、この効率化が即座に四半期の収益拡大に直結するという。
Microsoftは、納品されたGPUなどのプロセッサをいち早く稼働させるための工程改善にも取り組んでいる。ナデラ氏によれば、同社は2025年7月からの1年間で、主要リージョンにおける新しいGPUの搬入から稼働までに要する時間を約半減させた。これは、新しい機器がデータセンター施設に到着してから、物理サーバに組み込まれて本稼働するまでの期間が大幅に短縮されたことを意味している。
こうした準備期間の短縮によって、Microsoftがプロセッサの代金を支払ってから実際の収益を生み出すまでのサイクルは格段に早まる。巨大なデータセンター事業を運営する規模感を踏まえ、フッド氏は「迅速に収益化できる効率性の向上は、四半期の業績を即座に押し上げる要因になる」と説明した。
フッド氏は、データセンターの建屋やオフィスビルといった不動産資産の推定耐用年数を従来の15年から25年に延長したことにも触れた。「これは実際の運用実績と今後の使用見込みを的確に反映した結果だ」と同氏は付け加えている。なお、この耐用年数延長に伴うリースの再分類によって、表上の設備投資額の見通し数値は引き下げられるが、物理的なデータセンターの建設やGPUなどの調達計画自体が削減・延期されたわけではない。
企業の間で関心が高まっている分野が、ベンダー独自開発のモデル(プロプライエタリモデル)だけではなく、中身が公開されたオープンモデルの活用だ。AIモデルの選択について問われたナデラ氏は、企業が人材育成やナデラ氏の造語である「トークン資本」(AI由来の知的資産)の蓄積において、自ら主導権を握りたいと考えていると指摘した。企業は自社の知識創造やビジネス成果に最も貢献するベンダーを冷静に見極めようとしていると同氏は分析している。
調査会社Forrester Researchでプリンシパルアナリストを務めるトレイシー・ウー氏は、今回の決算発表の電話会見におけるMicrosoftの立場について「爆発的なAI需要と、それを供給するインフラ整備の限界というジレンマに直面している状況が浮き彫りになった」と分析する。
この背景には、かつてとは異なりOpenAIがMicrosoft Azureへの独占提供義務を解かれている2026年8月現在においても、依然としてMicrosoftがOpenAIに依存しているという構図がある。「OpenAIは、Microsoftの競合相手となるクラウドベンダーのインフラ上でAIモデルを稼働させるために協議中だが、そうした状況であってもMicrosoftはOpenAIに頼らざるを得ない状態だ」とウー氏は付け加える。
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