AI時代を見据えるインフラ選定
“データ爆発”に先手を打つ CRMサービス「betrend」の安定と成長を支えるOCI
顧客データや通知量が増え続ける中では、一瞬のシステム遅延や停止も許されない。膨大な処理を遅延なくさばき、AI活用を見据えてビートレンドが実施したインフラ刷新とは。
デジタルマーケティングにおいて、スマートフォンアプリケーションを通じたプッシュ通知や会員システムは不可欠な顧客接点だ。一方で、IT部門やインフラエンジニアにとって、それは「終わりの見えない負荷との戦い」の始まりでもある。デジタル施策が浸透するほど、システムが扱うべき顧客データや購買データ、メールや通知の配信数は増加するからだ。「キャンペーンのプッシュ通知を一斉配信した途端、アクセス集中でシステムがダウンする」といったインシデントのリスクも考えられる。膨大なデータ処理を遅延なく、安全に実行し続けることは、従来のインフラでは限界を迎えつつある。
飲食店や小売店を中心にCRM(顧客関係管理)サービス「betrend」を展開するビートレンドも、こうしたデータ増加を見据え、インフラの見直しを進めていた。同社は日々拡大する会員データの高速な処理と大規模なプッシュ通知のさらなる安定配信を実現するため、従来インフラの刷新という決断を下した。そのために選定したクラウドインフラとそのアーキテクチャとは。
安全かつ高速なデータ処理をクラウドで実現
ビートレンドは2026年8月13日、自社サービスのインフラをOracleのクラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)に移行し、本格運用を開始したことを発表した。日々拡大するデータの高速処理と情報配信の安定化を図った。今後はAI技術を活用したデータ分析ツールとしての機能拡張も推進し、サービスの高度化を目指す。
ビートレンドは、スマートフォンなどのデバイスを活用して企業が顧客に情報を配信するCRMサービスのbetrendを開発、提供している。飲食店や小売店、サービス業を中心に導入され、会員管理やポイントシステム、アプリを通じたプッシュ通知などを一元管理するツールとして店舗のデジタル施策を支援してきた。
近年、デジタルマーケティングの浸透に伴い、システムで扱う顧客データや購買データ、アプリケーションへのプッシュ通知やメールの配信数は急増傾向にあった。そこでビートレンドは、膨大なデータ処理を今後も遅延なく安全に実行し続けるため、サービスインフラの刷新を決断。OCIのサービスの一つであり、データベース処理に特化した統合システム「Oracle Exadata」をクラウドサービスで利用できる「Oracle Exadata Database Service」を採用した(図)。
今回のインフラ移行によって、大量の会員データやポイント処理の負荷が大幅に軽減されたという。アクセスが集中する時間帯でも、これまで以上に高速で安定したシステム運用が可能になった。OCIに標準で組み込まれているセキュリティ機能を活用し、betrendのユーザー企業が顧客から預かる個人情報や購買データを保護する体制も強化した。
新インフラの整備には、同社が2026年4月に発表したAI時代を見据えた新戦略「betrend Agent-Readyプロジェクト」の土台を確立するという狙いもある。AIモデルが安全かつ高速にデータを扱える次世代のデータインフラをあらかじめ構築することで、将来的な機能拡張に備えた。
今後は、OCIが提供する最新のデータ分析サービスや、生成AI、機械学習技術との連携を視野に入れている。蓄積されたビッグデータを基に、個々の顧客に合わせた分析や予測マーケティングを可能にする次世代機能の開発を進める考えだ。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「ビートレンド、サービス基盤をOCIで刷新 データ処理を高速化しAI活用見据える」(2026年8月13日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ファインディ株式会社] AI利用率だけでは説明できない成果 開発組織の競争力を生む「開発資本」とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI活用を成功へ導く、シンプルで費用対効果に優れたクラウド基盤とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] マネージドKubernetesには限界も――メリットをフル活用する新たな選択肢とは? -
技術文書・技術解説
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 決断の日が迫る「vSphere 8」サポート終了問題 考慮すべきリスクと選択肢は? -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] メール誤送信対策のルールが肥大化 苦しむ情シスはどうすれば救われるのか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
「恥を知るべきだ」 AIデータセンター反対運動を招いた事業者の秘密主義
-
4
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
5
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
6
私も“AIエージェント開発者”に? 裾野を広げる「Agent Bricks」とは
-
7
パスワードはなぜ死んだか 情シスが今すぐ始めるパスキー移行の現実解
-
8
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
-
9
「身代金を支払う」以外のランサムウェア対策は本当にあるのか?
-
10
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
4
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
10
マンガで学ぶXDR/MDRのメリット、中小企業のセキュリティ強化になぜ有効か?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー