AEMは従来のエンドポイント管理と何が違う?
AI任せの端末管理は安全か 自律型エンドポイント管理で見極めるべき条件4つ
AIを活用して端末の監視から問題の検出、判断、修復までを自律的に実行する「AEM」が注目されている。情シスの負担軽減が期待される一方、製品ごとに自律化の程度は異なる。導入時に確認すべきポイントを整理する。
PCやスマートフォンなどのエンドポイントを管理する情報システム部門(情シス)担当者の負担は増している。デバイスの種類が増え、働き方が多様化する一方、情シス部門には迅速なシステム展開やセキュリティ強化、規制への対応が求められている。
こうした課題への解決策として、一部のベンダーが提案しているのが「AEM」(Autonomous Endpoint Management:自律型エンドポイント管理)だ。AIを使い、人手をできるだけ介さずに端末を監視、判断、修復する仕組みを指す。
だが、エンドポイント管理の自動化自体は以前から存在する。AEMは従来製品とは本当に異なるのか。それともAI時代に合わせた名称変更に過ぎないのか。企業が導入を検討する際に確認すべきポイントを整理する。
AEMは従来の自動化と何が違う?
AEMの主な機能は、エンドポイントの継続的な監視、問題やポリシー逸脱、コンプライアンス違反の自動検出、検出した問題の自動修復、セキュリティおよびコンプライアンスポリシーの自動適用だ。ベンダーによっては「Autonomous IT」「Self-driving IT」「AI-driven endpoint operations」などの名称を使う場合がある。
従来型のエンドポイント管理製品にも自動化機能はある。AEMとの違いは、「何を根拠に動作するのか」にある。
従来の自動化は、人間があらかじめ定義したスクリプトやポリシー、ワークフローを基に動く。「Xが起きたらYを実行する」といったルールベースの仕組みだ。
一方、AEMの製品はAIや機械学習を活用し、固定されたルールへの依存を減らすことを目指す。全ての対処方法を事前に人間が定義するのではなく、状況に応じて判断し、問題の検出から意思決定、修復までを閉じたループで実行する考え方だ。
ただし、両者が解決しようとしている課題はそれほど変わらない。OSやデバイスが混在する環境で端末の状態をリアルタイムに把握したり、定型的な問い合わせを減らしたり、端末のセットアップやソフトウェア配布を標準化したりすることが主な目的だ。
なぜ今「自律型」が注目されるのか
AEMが注目を集める背景の1つには、生成AIをはじめとするAI技術への関心の高まりがある。ベンダーがAIブームを製品訴求に利用している面もある。ただし、それだけが理由ではない。
企業の情シス部門では、「自己修復型インフラ」への関心が高まりつつある。障害を検出するだけでなく、ITインフラが問題を修復する仕組みだ。AEMはITインフラ全体を自己修復する製品ではないものの、その方向に向かう技術の1つと位置付けられる。
もう1つの要因が、エンドポイント管理人材の不足だ。管理対象となるデバイスやOSは増え続け、情シス担当者が全ての端末について専門知識を持つことは現実的ではない。自律型のプラットフォームであれば、端末やOSの変化に人間より迅速に追従できる可能性がある。
AEMへの関心は高まりつつある。Informa TechTarget傘下の調査会社Omdiaが2025年7月に実施した調査では、回答者の50%はAEMを「利用中または試験導入中」と回答した。46%の回答者は「導入を計画している、または関心がある」と答えた。ただし、導入の成熟度には企業によって大きな差があるという。回答者は、ITおよびサイバーセキュリティ担当者364人だ。
企業利用に耐えるAEMをどう見極める?
「自律型」をうたっているAEM製品でも、自律化の程度は製品によって異なる。そのため、製品名やAI機能の有無だけで判断するのは避けた方がよい。特に重要なのが、AIが想定外の動きをしたときに、情シスがどこまで把握し、制御できるかだ。
例えば、AIがある端末の設定を変更した場合、「なぜその判断をしたのか」を管理者が確認できるようにする。AIが実行可能な行動を、ポリシーで制限できる仕組みも重要だ。
自律処理に失敗した際の対策も欠かせない。問題のある変更をロールバックできることや、自動処理が失敗した場合、想定外の状態を検出した場合に管理者へ通知できることを確認する必要がある。
AEMは比較的新しい分野であり、過剰な自動化や既存システムとの統合の難しさといった課題もある。製品を導入することによって、新たなセキュリティ上の穴やコンプライアンス上の問題が生じないかどうかも確認する。
導入前に情シスが確認すべき「4つの条件」
AEMを評価するときは、少なくとも次の4つの観点を確認したい。
1つ目は「透明性」だ。AIが実行した処理について、説明可能な形で理由を確認できるか。詳細な監査ログを残せるかが判断材料になる。
2つ目は「制御性」だ。管理者がAIの行動範囲を設定できるか。特にリスクの高い処理について、人間による承認を必須にできる仕組みがあるかを確認する。
3つ目は「セキュリティとコンプライアンス」だ。企業のポリシーを端末へ一貫して適用できることに加え、セキュリティポリシーや規制要件が変わったときに柔軟に対応できるかが重要になる。
4つ目は「導入と統合」だ。既存のITインフラにどの程度容易に組み込めるか。現在使っている管理ツールやレポーティングツールと連携できるかも確認しておきたい。
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