『リーダブルコード』の次に何を読む?
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
生成AIや動画が普及したことで、エンジニアの学習環境は変化している。そうした中でも多くのエンジニアが技術書を手に取り、信頼を寄せている。一方で思うように読書が進んでいない実態も明らかになった。
技術進化が速いIT業界でエンジニアが生き抜くためには、継続的なスキル習得が欠かせない。近年は動画や生成AIが普及してエンジニアの学習環境は変化している。そのような状況下で、最新技術のキャッチアップに生成AIを利用する層が一定数存在する一方、大多数のエンジニアが依然として「技術書は手放せない」と考えている実態が明らかになった。
新しい学習手段が台頭する中で、技術書が持ち続けている独自の価値とは何か。調査データから、エンジニアが直面する選書の課題や、日々の業務に直結する実践的な学習のアプローチを掘り下げる。
生成AIの普及下でも揺るがない技術書の価値
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エンジニアが求めているスキル
エンジニア向け転職サイト「キッカケエージェント」を運営するキッカケクリエイションは、2026年6月12日から15日にかけて、直近1年以内に技術書を読んだ経験があるITエンジニア330人を対象に活用実態調査を実施した。
技術や知識をインプットする手段は「技術系Webメディア・ブログ記事」が51.8%で最も多く、「技術書(電子書籍)」が49.4%、「生成AIへの質問」が43.9%と続く。紙の技術書を利用する層も41.8%存在しており、既存のメディア群に生成AIが深く浸透している状況がうかがえる。
生成AIが身近になった昨今でも、技術書は学習手段としての地位を維持している。「技術書は学習手段として手放せないと思うか」という問いに対しては、「非常にそう思う」が34.2%、「ややそう思う」が55.5%で、合計で89.7%に達した。約9割のエンジニアが、新しいツールが普及してもなお技術書を必要としている。
技術書を手放せない理由として最も多く挙げられたのは「情報の信頼性が高いから」で、全体の64.9%を占めた。次いで「手元に残して何度も読み返せるから」が44.9%、「体系的・網羅的に学べるから」が38.5%だった。生成AIは対話形式で迅速に疑問を解決できる利点がある一方で、その出力結果には不正確な情報が含まれるリスクが存在する。従業員の業務を支えるシステムの設計や実装を担うエンジニアにとって、情報の正確性は妥協できない要素だ。専門家が執筆して出版社が編集する工程を経た、書籍ならではの「信頼性」を、エンジニアは問題解決のよりどころにしている。断片的な知識の集合ではなく、特定の技術領域を俯瞰(ふかん)できる「体系性」も、生成AIには代替しがたい書籍の強みとして認識されている。
読書を阻害する選書の壁と出費の制約
技術書の有用性は広く認知されている一方で、実際の利用には幾つかの課題が存在する。過去に読んで役に立った技術書が「ある」と答えたエンジニアは91.6%に上った。書籍名としては『リーダブルコード』や『マスタリングTCP/IP 入門編』といった、時代を問わず基礎になる名著が挙げられている。
直近1年以内に購入した技術書のカテゴリーは「Web開発」が40.3%で首位になり、「設計・アーキテクチャ・リファクタリング」が39.4%、「プログラミング言語の入門・リファレンス」が32.7%と続いた。AI関連の技術書も需要が高く、「AI・機械学習・データサイエンス」が30.6%、「生成AI・LLM活用」が29.7%と、多くのエンジニアが新しい知識の習得に投資している実態が浮かび上がる。
しかし、技術書を読みたいと思っても実際には読めていない理由を尋ねると、「自分のレベルや目的に合った本を選べないから」が37.3%でトップだった。これに「書籍の価格が高いから」が33.3%、「読む時間が確保できないから」が32.4%と続く。技術の進歩に伴って、出版される書籍の数や扱うテーマが細分化しているため、自分にとって最適な一冊を見つけ出すのは困難だ。
毎月の技術書予算は「1001~3000円」が30.9%で最多だった。専門書特有の価格の高さが学習のハードルになっており、予算内で確実な一冊を選ぼうとする心理が選書の壁を高くしている。
業務課題に直結させる実践的な学習アプローチ
選書の難しさや時間的制約といった課題を乗り越えるため、エンジニアは独自の工夫を取り入れている。技術書を読み切って、実務で利用するための工夫として、「業務で必要になったタイミングで読んでいる」が48.5%で最多だった。次いで「通読せず必要な箇所だけ読んでいる」が40.9%、「通勤やスキマ時間を活用している」が32.1%だ。
常に新しい技術が誕生して要件が複雑化する現場では、学習のためのまとまった時間を確保するのは容易ではない。そのため、エンジニアは直面している課題の解決に直結する情報を優先的に取得する傾向にある。ここから見て取れるのは、書籍の最初から最後まで順を追って読み進めるスタイルから、必要な情報を必要な時に参照する、実践的で効率的な活用方法へのシフトだ。
自由回答の中には「電子書籍の場合はAIに要約、検索させる」との声もあり、技術書と最新ツールを組み合わせて情報収集の効率を高める動きも確認できる。「仲間と取り組むなどの半強制力を持って対応」や「友人と共有する」といった意見も見られた。個人の努力に依存するだけではなく、コミュニティーを通じた学習機会の創出も有効な手段として機能している。
これらの結果から、技術書は単なる読み物としてではなく、業務を遂行するための高度なレファレンスとして機能していると分かる。情報の信頼性が担保された技術書を軸にしつつ、検索性や要約に優れた生成AIを補助ツールとして活用するハイブリッドなアプローチは、今後のITエンジニアにとって標準的な学習スタイルになるだろう。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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