『【令和8年度】 いちばんやさしい 基本情報技術者』出張版
【基本情報技術者試験】人間の心理的隙を突く「ソーシャルエンジニアリング」とは?
ITの基礎理論から経営・マネジメントまで幅広い知識が問われる国家資格「基本情報技術者試験」。IT担当者が直面しやすいテーマを取り上げ、図解を交えながら実践的な知識を解説します。今回は、システムではなく「人」の弱点やミスにつけ込む「人的脅威」の手口や対策について取り上げます。
「基本情報技術者試験」は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施し、経済産業省が認定する国家試験です。「ITエンジニアの登竜門」として知られていますが、ITの基礎だけではなく、プロジェクトマネジメントや経営戦略、関連法規、会計など、ITをビジネスに活用するための幅広い知識が問われるのが特徴です。そのため、エンジニアのみならず、企業のIT担当者やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に関わるビジネスパーソンにとっても、実務に直結する知識を体系的に学べる資格として重要視されています。
本記事はSBクリエイティブ刊『【令和8年度】 いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集』(高橋 京介 著)から、IT担当者が日々の業務で直面しやすい重要テーマをピックアップし、図解を交えながら解説します。今回は、システムではなく「人」の弱点やミスにつけ込む「人的脅威」の手口や対策について取り上げます。
情報セキュリティの脅威
インターネットが広く普及したことに伴って、使い方を間違えたり、悪意のある人が犯罪に使ったりと、これまでには存在しなかったリスクも生まれています。インターネットを通して、国家や企業、個人などのシステムのデータを盗んだり、破壊したりする行為のことを「サイバー攻撃」といいます。そして、こういった攻撃から情報資産を守ることを「情報セキュリティ」といいます。
情報セキュリティは基本情報技術者試験の中で最も出題数の多い分野です。そのため、本章のページ数も多めとなっています。本書の中でも山場といえる章なので、気を引き締めて取り掛かってください。
情報セキュリティとは
情報セキュリティとは、情報資産を守ることです。また、この情報セキュリティを脅かすリスク要因のことを「脅威(きょうい)」といいます。情報セキュリティに関する脅威は、大きく次の3つに分類できます。
- 人的脅威
- 技術的脅威
- 物理的脅威
(1)人的脅威
人的脅威とは、人によって引き起こされる脅威です。例えば、社員が誤操作でデータを消してしまうことや、悪意を持った人がコンピュータに不正アクセス(p.723)することです。これらはすべて人的脅威となります。
ソーシャルエンジニアリング
ソーシャルエンジニアリングとは、特別なツールや技術は使わず、人間の心理的な隙を利用して機密情報を手に入れることです。基本情報技術者試験では、過去に次のような具体例が出題されています。
- システム管理者などを装い、利用者に問い合わせてパスワードを取得する
- 緊急事態を装って組織内部の人間からパスワードや機密情報を入手する
語源
ソーシャルエンジニアリングには「社会工学」という意味もあります。社会工学とは、社会問題を理工学的なアプローチ(数学や物理など)で解決しようとする学問です。これに対して、人的脅威の1つであるソーシャルエンジニアリングは、まったく理工学的ではありません。社会工学という真逆の意味の言葉を、皮肉的に使用した用語だといわれています。
不正のトライアングル
人的脅威に関連して「不正のトライアングル」という理論があります。不正のトライアングルとは、人が不正を働くのは「機会」「動機」「正当化」の3つの条件が揃ったときであるという理論です。
なお、この3つの条件に対して、不正解の選択肢として「情報」という偽の条件が紛れ込むことがあるので注意してください。確かに、パスワードなどの「情報」を持っていれば不正を働きやすくなりますが、これは「その情報で不正アクセスできる“機会”を持っている」と考えてください。
※この記事はSBクリエイティブ刊『【令和8年度】 いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集』から、アイティメディアが出版社の許可を得て一部加筆編集の上、転載したものです(無断転載禁止)。
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