「丸投げ」か「内製」か、それ以外か
Salesforce導入直後に陥る“運用崩壊” エレコムが選んだ「第3の道」
予算を注ぎ込んで導入した「Salesforce」も、現場に定着しなければ意味がない。ベンダーからの引き継ぎ直後、担当者のリテラシー不足と運用負荷に直面したエレコムはいかにして“運用崩壊”の危機を脱したのか。
多額の予算を投じて導入した顧客関係管理(CRM)ツールも、導入後の定着に失敗すれば、ただの“高額な箱”になってしまう。特に、システム構築を終えた開発ベンダーが離れ、社内運用へと切り替わる引き継ぎ直後は、運用が頓挫しやすい危険な空白期間だ。
「3000億円企業」を目指すツールとしてCRMシステム「Salesforce」を導入したエレコムも、導入直後に大きな壁に直面した。既存システムからの移行を終え、運用開始という段階で、チームメンバー間でシステムへの理解度に温度差があることが浮き彫りになったのだ。ベンダーからの引き継ぎに伴うドキュメント整備や、部署内の体制変化への対処が重なり、現場は混乱していた。
エレコムは将来的なSalesforce運用の内製化を掲げていたが、現実は厳しかった。導入直後の限られた人員で、日々の運用を回しながらメンバーのスキルアップを同時に図ることは至難の業だ。かといって運用保守を全て外部ベンダーに委託すれば、費用は跳ね上がる。無理に内製化を推し進めれば、設定ミスによるシステム障害など、運用品質の低下を招く恐れがある。
「高額な外部委託」か「リスクを伴う内製化」か――。究極の2択を迫られたエレコムの担当者が、予算の超過を防ぎ、将来的な設計リスクを回避するために下した“第3の選択肢”とは何か。
エレコムが直面したベンダー引き継ぎの泥沼
エレコムは、成長戦略の中核として導入したSalesforceの定着と将来的な運用の内製化を目的に、セールスイネーブルメントが提供する定額制運用支援サービス「アドミンニンジャ」を採用した。2026年7月13日、セールスイネーブルメントが発表した。導入直後の運用体制における課題を解消し、社内人材のスキルアップとスムーズな業務運営の両立を進める。
日本のPC/デジタル機器周辺機器メーカーであるエレコムは、3000億円企業の実現に向けた成長戦略の中核としてSalesforceを導入し、既存システムからの移行を完了した。しかし、実際の運用を開始する段階で、チームメンバーごとのシステム理解度の違いや、引き継ぎに伴うドキュメント整備、部署内の体制変化への対処といった課題に直面した。将来的な自社運用を目指すものの、導入直後の限られた人員でチームのスキルアップと日々の運用を同時に遂行することの難しさが浮き彫りになっていた。
外部サポートの選定に当たっては、全てを委託する場合の高額な費用と、内製化を前提とした場合の運用品質の低下に対する不安が比較検討された。その結果、定額制で予算の見通しが立ちやすいこと、フルリモートで場所を問わないこと、専門性の高さを評価し、アドミンニンジャの採用を決めた。
契約開始後の1カ月間は、ベンダーから引き継いだSalesforce管理業務の棚卸しを実施した。業務を1つずつ整理し、自社で実施する領域と外部に委託する領域を明確に分類したことで、体制変更による混乱の中でも安心して運用を開始できた。
日常的な運用では、質問に対する迅速な回答に加え、本番環境での設定変更に対するユーザーテストを含めたアドバイスが評価されている。他社事例や一歩引いた目線からの提案、将来的な設計リスクの事前指摘によって、システム構築における失敗を防いでいる。週単位でのタスクや作業時間、残り工数を可視化する情報共有の仕組みも、業務進行の安心感につながっている。
エレコムは、Salesforceの導入をゴールとせず、その先の定着と活用、内製化を見据えたサポートによって、本来の目標に向けて迅速に動く体制が整ったと考えている。今後も外部専門家による伴走支援を活用しながら、Salesforceの活用度を高める計画だ。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「エレコム、Salesforce運用体制を棚卸し アドミンニンジャ導入で内製化へ」(2026年7月14日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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