SaaS型かオンプレミス型か
ERPソフトウェア選択で役立つ6つのチェックポイント
ERPの導入形態を検討する際に、自社の状況に合った決定を下すために考慮すべき6つの重要な要素を紹介する。
不透明な経済状況の中にあっては、企業はERP(Enterprise Resource Planning)の意味を再定義し、その導入形態を再検討する必要がある。今日、「SaaS(Software as a Service)」や「オンデマンド」といった言葉は、1つのアプリケーションインスタンスからインターネット経由で配信され、複数のユーザーによって共有される機能を意味する。従来のERPに代わる低コスト・低リスクの選択肢として、SaaSとオープンソースに魅力を感じる企業もあるだろう。しかし従来型ERP製品とSaaS型のERP製品のどちらにも、考慮すべきリスクが存在する。
最近のERPパッケージの魅力は、ERPソフトウェアを選択する際に導入形態を選べる点にある。つまり、ERPを自社のサーバ上で運用するという形態のソリューション(従来型ERP)を導入するという方法に加え、ソフトウェアを自社で管理するのが難しい企業にとっては、社外で運用してもらうという選択肢(SaaS)があるのだ。ただしERPを選択する際には、自社の状況に合った決定を下すために以下の6つの重要な要素を考慮する必要がある。
1. シンプル性
技術的な観点からいえば、一般に、SaaSは導入するのが比較的容易だ。サーバを新たに購入したり、自社でソフトウェアを物理的にインストールしたりする必要がないため(基本的なインターネット接続があればスタートできる)、SaaSはソフトウェアを簡単かつ手早く導入する手段として利用できる。その反面、技術的に非常に簡単であるという面が、従来型のERPでは遭遇しないようなビジネス面での複雑性を生み出す可能性もある(次の2項参照)。
2. 柔軟性
従来型ERPは自社サーバにインストールされ、自社が実際にソフトウェアを保有するため、好きなように利用できる。カスタマイズするのも自由だし、ほかのソフトウェアと連係するのも自由だ。基本的にはどんなERPソフトウェアでも好きなように構成、セットアップできるようになっているが、一般にSaaS型ERPは従来型ERPよりも柔軟性が低い。全面的にカスタマイズしたり、ソフトウェアを書き直したりすることができないからだ。またSaaSベンダーは、ユーザー企業が高度な機能を必要とするかどうかにかかわらず、1つのバージョンしか提供しないことが多いが、ソフトウェアはWeb上で提供されるため、ユーザーはそれを受け入れるしかない。その半面、SaaSはカスタマイズできないので、ソフトウェアの修正に付随する技術的困難を回避できるともいえる。
3. コントロール
上記2項で述べた理由により、従来型ERPと比べるとSaaS型ERPは自由にコントロールできないと考えている企業が多い。これは特に、ビジネスプロセスが確立されており、それをソフトウェアに合わせて変更できない中堅企業や大企業の場合に当てはまる。一般に、大手企業と比べると中小企業はビジネスプロセスをソフトウェアに適合させるのが容易だ。またSaaSでは、複雑な機能を提供する上で制約がある。
4. アクセス性
SaaSでは、社外に配備されたシステムにアクセスするのにインターネットを利用する。このため、インターネットに接続できなくなると、まさに地獄となる。これに対し、従来型ERPの場合、ユーザーが社内ネットワークの中でソフトウェアにアクセスするだけであれば、インターネット接続環境の信頼性は要求されない。
5. コスト
一般に、SaaS型ERPは従来型ERPよりもはるかに少ない初期コストで導入することができ、TCO(総所有コスト)も低い。高価なライセンス、複雑なハードウェア/ソフトウェアインフラ、技術的メンテナンスなどが不要になるからだ。こういった費用対効果の高さは中小企業にとって魅力だが、運用コストはSaaSの方が高くなる可能性もある。SaaSはサブスクリプションベースで提供されるため、ソフトウェアを利用するのに料金(年額あるいは月額)を支払わなくてはならないからだ。これは自動車を購入する代わりにリースするようなもので、ソフトウェアを使い続けるかぎり料金が発生するのだ。会社が成長し、システムを利用する従業員が増えると、コストも増大する可能性がある。
6. 連係
従来型ERPを導入済みの企業の多くは、同一プラットフォーム上で動作するアプリケーションを保有している。そうすることで厄介な連係問題を避けるとともに、運用の可視性を高められるからだ。SaaSベンダーにとって連係は重要な問題であり、クラウドアプリケーションと顧客企業のレガシーアプリケーションとの社内連係を実現する必要がある。一方、SaaS利用企業も、さまざまなベンダーのホスティング型ソフトウェアを、さらに別のベンダーのミドルウェアを使って連係する必要がある。
景気低迷で各業界が成長率を1けた台に下方修正する中にあっても、米調査会社IDCの予測によると、SaaS市場は2009年、40%を超える成長を達成する見込みだ。企業にとってSaaSの魅力は、「オンプレミス(社内保有)型アプリケーションに代わる適正サイズで初期投資ゼロの選択肢」と使いやすいサブスクリプションサービスが提供されるという点にある。特に厳しい経済状況の中では、これらのメリットは大きな魅力だ。もちろん、従来型ERPとSaaS型ERPの間には明らかなトレードオフが存在する。ERPソフトウェアの選択に際しては、上記の6つの要素を十分に検討する必要がある。
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