バードストライクのリスクを低減
ビジネスユーザー視点でスムーズに離陸 米国際空港が取り組んだ現場のBI利用
変化を受け入れることは難しい。米ダラス・フォートワース国際空港では、ビジネスユーザー向けのツールを導入することで、BIリポートを作成する際の負荷を軽減した。
米ダラス・フォートワース国際空港でビジネスインテリジェンス(BI)担当マネジャーを務めるドウェイン・ワシントン氏にとって、新たなBIリポートを開発することは、家を建てるものだった。顧客から要件を聞き取ったら、そのインプットを基に成果を生み出すのである。
ワシントン氏は最近、同氏のBIチームが顧客の要求をあまりにも尊重し過ぎているように感じているという。調査会社の米TDWIが開催した「The Analytics Experience」カンファレンスの講演で、同氏はこうした状況について、まっさらの図面を土地の所有者に渡して、書き上がった設計図通りに家を建てるようなものだと指摘した。そこには、顧客が浴室の設計を忘れてしまうといったリスクがある。
併せて読みたいお薦め記事
データ活用でビジネスを加速する企業
- 驚きの費用対効果1万%を実現した、すかいらーくのデータ活用基盤とは
- メガネ業界で快進撃を続けるJINS、データ活用基盤で経営は“視界良好”
- 「人流解析」でリアル店舗はもっと魅力的になれる――パルコのロケーションマーケティング(ITmedia マーケティング)
現場での活用が広がるBIツール
こうした理由から、BIチームは自分たちのノウハウやスキルを生かし、BIリポートに関する顧客の要件を絶対のものとしてではなく、方向性を示すものとして考えることが必要だという。BIチームは自社にどういったデータがあるか、自社のツールで何ができるかを分かっている。開発するものがどのように機能するかを最終的に決めるのは、BIチームの役割であるべきだ。
何を目的として開発しているのか
だからといって、ビジネスユーザーがそのプロセスに必要ないというわけではない、とワシントン氏は話す。実際、同氏は正反対のアプローチを取っている。BIチームのスタッフは全員、リポート開発で関わるビジネス部門の所属メンバーの名前を知っておかなければならない。また、ビジネス部門のスタッフと席を並べてその業務に接することで、どうしてそのリポートが必要なのか、どれによって業務にどのような影響が生じるのかを学ばせている。
「席を並べて仕事をしてみなければ、業務で何が必要なのかを理解することはできない」(ワシントン氏)
ワシントン氏のチームは、同空港の野生動物管理部門向けにアプリを開発した。空港敷地にわたって鳥類の生態を追跡するためのツールだ。飛行機と鳥が衝突するバードストライクは、年間で数百件も発生しており、機体に深刻な損傷を与える恐れがある。ダラス・フォートワース国際空港の野生動物管理チームは、このリスクを低減する役割を担っている。だが、広大な敷地面積を有する空港では、鳥の群れがどこにいるのか、どういう行動を取るのかを把握することは決して容易ではない。
野生動物管理チームの業務に同行することで、BIチームのスタッフはある行動に気が付いた。野生動物管理チームは、敷地内の現場で鳥の写真を撮り、事務所に戻ってからその種類と植物についての情報を地図に手動で記録していたのである。そこでBIチームは、作業を自動化するアプリを開発した。野生動物管理チームはスマートフォンで撮影していたので、写真には撮影場所のGPS座標が埋め込まれていた。そのためアプリの開発は比較的容易だった。野生動物管理チームは今では、鳥の群れがどこに集まっていて、どの植物や水辺がそれに影響しているかを確認することができるという。
リポートやアプリが受け入れられるために
業務に即した形でリポートやアプリを開発・展開するアプローチは、それによって生じる変化を最小限に抑えることにつながる。既存の機能と比べてあまりシンプル化されていなかったり、新しいプロセスを覚えるために時間がかかったりといった場合、ビジネスユーザーは新しいものを受け入れないだろう。
「“業務のやり方が大きく変わる”といわれてすぐに納得する人などいない。大半の人は消極的な態度を取るはずだ。だが、それに価値があれば、変わることはそれほど難しくない」(ワシントン氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
4
世界のデータセンター容量は5カ国に69%集中、電力消費「5%の壁」が招くものとは?
-
5
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
8
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
9
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
10
AIをデータ保管場所の近くに置くと安全で経済的 それでも残る“破滅的リスク”
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー