データ保護の最適解「バックアップアプライアンス」の選定と比較【第1回】
クラウド全盛期でも注目を集める、2種類のバックアップアプライアンスとは?(1/2 ページ)
「バックアップ専用アプライアンス」には、「ターゲット型」と「統合型」の2種類の選択肢がある。バックアップシステムを構成するコンポーネントを基に、両者の違いを解説する。
本連載では6回にわたり、バックアップ専用アプライアンス(以下、バックアップアプライアンス)の機能比較、製品選定ポイントについて解説する。対象読者は、仮想化基盤などのインフラ管理者、バックアップ管理者、バックアップの方式や製品の選定・設計に関わる人である。
連載インデックス
第1回の今回は下記について解説する。各メーカーの具体的な製品については次回以降で言及する。
- バックアップアプライアンスの市場動向
- 2種類のバックアップアプライアンスの違い
- 統合型バックアップアプライアンスのメリット
1.バックアップアプライアンス市場動向
データ保護や事業継続の機能に特化したバックアップアプライアンスの市場が伸びてきている。米調査会社IDCのバックアップアプライアンスに関するレポート(注1)によると、2015年第4四半期の市場規模は前年の同時期と比較して4.1%増加し、10億4600万ドルとなった。また同四半期の出荷容量は前年同期から25.6%増加し、1160PB(ペタバイト)に達した。
アプライアンスは特定の用途や機能に特化した専用機器を指す。従来はネットワークやセキュリティ、NAS(Network Attached Storage)のアプライアンスが多かった。なぜ仮想化、クラウド化が進んでいる今、物理的なバックアップアプライアンスの需要が伸びているのか。
大容量化している環境を高速にバックアップするためには、重複排除の技術が欠かせない。重複排除を適切なパフォーマンスで実施するためには、バックアップサーバのCPUやメモリ、ストレージのサイジングが重要になる。バックアップサーバは物理サーバで構築することが一般的なので、サイジング/チューニング済みの物理アプライアンスを用いることは、現在でも理にかなっているのである。
【コラム】重複排除について
データが増加し続けている昨今、大容量のデータを高速にバックアップするために用いられている技術が重複排除だ。重複排除技術は、バックアップ保存先ストレージの容量削減だけではなく、事業継続のためのバックアップデータの遠隔地レプリケーション、週末のフルバックアップを不要にする永久増分バックアップの実現にも寄与している。
重複排除について詳しくは、下記の記事を参考にしてほしい。
2.2種類のバックアップ専用アプライアンスの違い
バックアップアプライアンスは、英語ではPurpose-Built Backup Applianceと言い、略称はPBBAである。バックアップアプライアンスには以下の2種類がある。
- ターゲット型バックアップアプライアンス(Target PBBA)
- 統合型バックアップアプライアンス(Integrated PBBA)
上記の違いを説明する前に、バックアップシステムを構成するコンポーネントを理解しよう。バックアップシステムは、下記のように「(1)バックアップクライアント」「(2)バックアップサーバ」「(3)バックアップ保存先ストレージ」から構成される。
各コンポーネントの役割と構成要素は下記の通りだ。
| コンポーネント名 | 役割 | 構成要素 |
|---|---|---|
| (1)バックアップクライアント | データの整合性確保 バックアップデータの送信 |
サーバ、仮想マシン、OS、アプリケーション、バックアップエージェントなど |
| (2)バックアップサーバ | バックアップデータの取得 バックアップジョブのスケジュール管理 バックアップデータの世代管理 |
サーバ、HBA(Host Bus Adapter)、NIC、OS、バックアップソフトなど |
| (3)バックアップ保存先ストレージ | バックアップ保存先 | ストレージ、テープ装置など |
次に2種類のバックアップアプライアンスについて詳しく説明する。
ターゲット型バックアップアプライアンス
ターゲット型バックアップアプライアンスは、図1の「(3)バックアップ保存先ストレージ」に該当する。一般的に重複排除機能を有する。基本的にはデータを書き込むバックアップサーバが別途必要になる。異なるバックアップソフトで構築した複数台のバックアップサーバから書き込むことも可能だ。ターゲット型アプライアンスに直接データを書き込めるエージェント(プラグインとも言う)を用意する製品もある。ただしバックアップジョブのスケジュール管理、バックアップデータの世代管理まではできない。そのため広範囲のバックアップ対象を統合管理するためには、バックアップサーバは別途必須だと考えてよい。
統合型バックアップアプライアンス
統合型バックアップアプライアンスは、図1の「(2)バックアップサーバ」と「(3)バックアップ保存先ストレージ」を合わせたものに該当する。本アプライアンスだけでバックアップができる。バックアップ対象を仮想環境に限定している製品の中には、エージェントが付属しないものもある。仮想環境に加え物理環境、アプリケーションに対応した統合バックアップが可能な製品は、各環境向けに各種エージェントを用意している。製品によっては、バックアップサーバのOSとバックアップソフトが一体型となっており、パッチ適用などが簡単にできるものや、サービスを停止せず容易にバックアップ保存先ストレージを増設できるものがある。
図2は2種類のバックアップアプライアンスの違いである。重要なポイントはバックアップサーバが含まれるか否かだ。また大容量化が進む環境のバックアップを効率化するためには、統合型が有効なこともお分かりいただけたと思う。
よくある誤りは、「バックアップアプライアンスの製品比較」として、ターゲット型と統合型の製品を混在して比較してしまうことだ。ターゲット型を使用するか、統合型を使用するかを選択した上で製品比較するべきだ。
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データ保護の最適解「バックアップアプライアンス」の選定と比較
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