低価格ソフトってどうなの?
「クライアント仮想化」の主要3社を比較、ユーザー企業が着目すべきポイントとは(1/2 ページ)
デスクトップ/アプリケーション仮想化を実現するソフトウェアの中から、主要3社(シトリックス、ヴイエムウェア、パラレルス)の製品をピックアップ。それぞれの特徴を紹介する。
サーバ側と同様にクライアント端末側も仮想化するのは自然な流れだろう。管理のしやすさやセキュリティ向上はもとより、どこからどんな端末を使っても自分のデスクトップ環境にアクセスできるのはエンドユーザーにとって便利だ。
「クライアント仮想化」(注1)の主要な方式は大きく分けて2つある。サーバで稼働する各仮想マシンを個別の仮想PCと見立てるVDI(仮想デスクトップインフラ)と、「Windows Server」で実行するクライアントアプリケーションもしくはサーバデスクトップを共有するRDS(リモートデスクトップサービス)だ。オフィスワーカー向けには物理PCとほぼ同じ環境が得られるVDI、特定アプリケーションを集中して利用する業務ユーザーにはRDSと使い分けることが多い。クライアント仮想化ソフトの多くは両方式に対応している。
注1 本稿では、デスクトップ仮想化、アプリケーション仮想化などクライアント端末の仮想化を総称して「クライアント仮想化」と表記する。
関連記事
業務課題から考えるデスクトップ仮想化 徹底解説
- Horizon 7、XenDesktop 7.8、MS VDI、注目の新機能をピックアップ
- 物理PCと何が違うの? デスクトップ仮想化、基本の「き」
- 違いが分かる デスクトップ仮想化の配信方式
- 徹底比較:生い立ちから分かる、デスクトップ仮想化主要3製品の違いとは?
- VDI導入で必ずと言っていいほどハマる落とし穴とは
デスクトップ仮想化のコストを削減する
デスクトップ仮想化の事例
デスクトップ仮想化のハードウェア選定
最近は、パブリッククラウドでクライアント仮想化をサービス提供するDaaS(Desktop as a Service)も増えている。一般的にDaaSは、事業者のシステム基盤で動くメニュー化された仮想デスクトップを提供する。また事業者のサービスレベルに依存することから、ユーザー企業が自前で構築するオンプレミスのVDI/RDSシステムよりも制約が多い。大規模なクライアント環境では、エンドユーザーが利用するデバイスや仮想デスクトップの種類が多様だ。そのため大規模環境であるほど、DaaSではなく自前でVDI/RDSシステムを構築するケースが多い。DaaSは話題の利用形体だが、標準的なサービスでは自社のニーズがカバーしきれないと考える企業は、今後もオンプレミスのVDI/RDSシステムを選択するだろう。
もちろんDaaSにせよ、自前もしくは事業者の基盤を使ったオンプレミスのVDI/RDSシステムにせよ、提供形体が異なるだけで、核となるクライアント仮想化ソフトウェアは同じだ。主要製品といわれるのは、シトリックス・システムズ・ジャパンの「Citrix XenDesktop」「Citrix XenApp」、ヴイエムウェアの「VMware Horizon」、Microsoftの「リモートデスクトップサービス」の3つである。それ以外に最近では、アシストが国内総代理店を務める「Ericom Connect」(開発:Ericom Software)やパラレルスの「Parallels Remote Application Server」(RAS)といった製品が、特定のニーズで注目されつつある。
使用感にこだわるシトリックス製品
シトリックスはクライアント仮想化の老舗ベンダーだ。独自の画面転送プロトコル「ICA」の成熟度と先進性には一日の長があるといわれる。VDI/RDS製品選定の勘所は、エンドユーザーに物理マシンと同等の使い勝手を提供することだ。その能力が試されるのは、音声や動画といった大容量データを伴うアプリケーションを扱うときだ。例えばXenDesktopは、日本マイクロソフトの企業向けメッセージングソフト「Skype for Business」を正式サポート(シトリックスとマイクロソフトがICA拡張パックを共同開発)しており、その操作性における信頼は高い。Webカメラが利用可能なクライアント仮想化製品も、現状ではシトリックス製品一択だ。
XenDesktopが大規模VDIシステムで多く採用されているのは、「Citrix Provisioning Services」(PSV)という仕組みがあることも大きい。PSVは、仮想デスクトップのイメージ(vDisk)をオンデマンドで仮想マシンや物理マシンにストリーミング配信して、ネットワークブートする仕組みだ。1つのvDiskを大量の仮想マシンで共有するため、クローン方式と比べてスケーラビリティが高く、ストレージ容量を大幅に節約できる。
また現在のクライアント仮想化では当然、モバイル端末からのアクセスも想定しなければならない。その点でシトリックスにはアプリケーションデリバリーコントローラー(ADC)製品「Citrix NetScaler」がある。基本機能である負荷分散の他に、ICA通信の暗号化やモニタリング、一元的なユーザー認証などのセキュリティ機能を提供する。さらにエンタープライズモビリティー管理(EMM)の「Citrix XenMobile」を併用すれば、モバイル端末やそこで扱うコンテンツ、アプリケーションを統合管理できる。モバイル向け機能の充実度は、クライアント仮想化で見逃せない点である。
垂直統合のポートフォリオが特色のヴイエムウェア製品
ヴイエムウェアのHorizonの強みは何と言っても、クライアント仮想化の基盤がサーバ仮想化で圧倒的なシェアを持つ「VMware vSphere」との連係が容易なことだ。リードキャッシュ機能などの連係機能がスムーズに使える。同社が進める、データセンターの構成要素全体を仮想化するSDDC(Software-Defined Datacenter)戦略の下、ラインアップを充実してきた製品群――分散ストレージソフト「VMware Virtual SAN」、ネットワーク仮想化ソフト「VMware NSX」などを使えば、ソフトウェアベースで柔軟性の高いクラウド基盤の上でVDI/RDSシステムを実行できる。
仮想マシンのマスターイメージ(クライアントOS)とアプリケーションの分離度を高め、アプリケーション展開を数時間から数秒に短縮するソフト「VMware App Volumes」とも連係できる。各アプリケーションのファイルやレジストリーを納めたコンテナをVMDKファイルとして作成。それを仮想マシンに仮想ディスクとしてアタッチしてOSから読み取らせる。この機能によって、アプリケーションの配信や展開、メンテナンスが容易になる。
加えてヴイエムウェアは、エンドユーザーコンピューティング(EUC)を支援する製品群が充実している。EUC向けスイート製品「VMware Workspace ONE」には、EMMの「AirWatch」、ワークスペース環境管理の「Immidio」など、同社が相次いで買収したベンダーの製品を組み込む。つまりHorizonは、ヴイエムウェアの垂直統合な製品ポートフォリオの中で価値を増す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
2
ソフトウェア開発生産性向上に取り組む企業は4割 調査で学ぶ「停滞」の正体
-
3
クラウド資格コレクターは評価されない? 年収1000万を分ける“OSの理解度”
-
4
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
5
なぜMicrosoft製品か Copilotで問い合わせ6割減の企業事例
-
6
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
7
マンガで解説:KSK2稼働で何が変わる? 税務調査の高度化に備えるデータ管理
-
8
無料の「Apple Business」で十分? 情シスが陥りがちなポイント
-
9
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
10
年収700万超エンジニアに共通するスキルと「もっと勉強すべきだった分野」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
4
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
5
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
6
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
7
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
8
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー