スマホとPCの垣根をなくす「デジタルワークスペース」は“世界を変える技術”なのか?:単なる「デスクトップ仮想化」との違いは(1/2 ページ)
「デジタルワークスペース」は、エンドユーザーが1つの場所から多様なアプリケーションやデータを利用できるようにする技術だ。理論的には素晴らしいが、ベンダーロックインなどの問題に対する懸念もある。
何十年もの間、「状況を一変させてパラダイムシフトを起こす見込みがある」といわれるトレンドや技術が、次から次へと登場してきた。本稿執筆時点で話題を呼んでいる「デジタルワークスペース」もそうだ。
VMwareとCitrix Systemsの製品がけん引するデジタルワークスペースは、エンドユーザーにとっては自分のアプリケーションやデータを利用するための“ワンストップショップ”になるだけでなく、IT部門にとってはこれら全てを管理できる手段になり得る。このような一括管理の概念は新しいものではないが、これまではバックエンドのインフラ管理に限定したものが大半だった。
問題は、デジタルワークスペースを構成する製品群が多くの要素で構成されており、それほど単純なものではないことだ。IT管理者にとっては、こうした製品を詳しく調査し、“都市伝説”を解明するような厳しい視点で評価することが重要になる。
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デジタルワークスペースの役割
モバイルデバイスの存在を前提とした「モバイルファースト」の世界では、従来のクライアントPCに匹敵するか、それを上回る頻度でスマートフォンやタブレットを使用することが当然の状況になる。残念ながら企業の中には、レガシーアプリケーションなど、まだモバイルデバイスから利用できないアプリケーションが存在する。
こうした問題を解決するために、デジタルワークスペースが役に立つ。デジタルワークスペースは、仮想デスクトップ/仮想アプリケーションからネイティブアプリケーション、Webアプリケーションに至るまで、エンドユーザーがさまざまなリソースに1つの場所からアクセスできるようにする。
デジタルワークスペースは、クラウドの利用を前提とした「クラウドファースト」の戦略実現に当たって、素晴らしい役目を果たす。
クライアントPCのOSイメージ作成とマルウェア対策に関する身震いするような難題を乗り切ってきた管理者なら、デスクトップ仮想化の主要技術である「仮想デスクトップインフラ」(VDI)の価値をよく知っているだろう。デジタルワークスペースでは、VDIが大きな力を発揮する。VDIは、管理者が仮想デスクトップとデータを管理する単一の場所を提供するからだ。管理者はエンドユーザーの居場所やデバイスに関係なく、エンドユーザーに仮想デスクトップを提供できるようになる。
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